Suicaグリーン券券売機は、グリーン車の連結された普通列車が停まる駅のホームに設置されています(一部を除く)。現在設置されている券売機は(記憶が間違っていなければ)2世代目で、ICカードリーダーがトレイ式になっています。
「トレイ式なら、モバイルSuicaを入れたスマホも置けるじゃん」って思いますよね。しかし、モバイルSuicaの入ったスマホを置くと「このカードはお取り扱いできません」というメッセージと共に取り扱いを拒絶されます(モバイルPASMOも同様です)。
首都圏の普通列車グリーン車の運用対象駅(一部を除く)のホームにあるSuicaグリーン券券売機。現行のものはICカードリーダーがトレイ式でスマホも置けるのですが、モバイルSuica(やモバイルPASMO)を意図的にはじくようになっています(写真提供:JR東日本)スマホを置ける設計になっているにも関わらず、なぜSuicaグリーン券券売機はモバイルSuicaを拒絶するのか――JR東日本に聞いてみましょう。
―― 普通列車グリーン車の運行区間にある「Suicaグリーン券券売機」について、カードタイプのSuicaしか使えなくて困ることがあります。モバイルSuicaの場合、通信環境が不安定だとすぐに購入できないこともあるからです。モバイルSuica(の入ったスマホ)が置ける構造なのに、なぜ明示的にモバイルSuicaを排除するのでしょうか。
JR東日本 Suicaグリーン券をSuicaグリーン券売機で購入する場合、SF(※2)決済となり、SuicaのSF残高から料金が差し引かれるのに対して、モバイルSuicaアプリから購入する場合は会員情報にひも付いたクレジットカード(※3)か、Google ウォレット/Apple Payにひも付いたクレジットカードでの決済となります。
Suicaグリーン券売機でモバイルSuicaを利用できないようにしているのは、アプリ購入時と券売機購入時で払い戻し処理が異なるためです。券売機の混雑を防ぐ観点からも、モバイルSuicaをご利用のお客さまにはアプリでの購入をお願いしています。
(※2)Stored Fare:カードにチャージされた残高(電子マネー残高)
(※3)クレジットカードのブランドが付いたデビットカードやプリペイドカードを含む(以下同様)
モバイルSuicaアプリでは、Suicaグリーン券を含む各種チケットはクレジットカードで購入し、払い戻しもクレジットカードに対する返金処理で行う仕組みとなっています。これに電子マネー残高での返金機能を追加するとなると、アプリはもちろんシステム(サーバ)側にも改修が必要です。モバイルPASMOの場合は、それに加えてアプリ自体がSuicaグリーン券の利用を想定していません。
そのような事情から、Suicaグリーン券券売機ではモバイルSuicaやモバイルPASMOを“あえて”はじいているようです。
Suicaグリーン券を含めて、モバイルSuicaで購入できる各種チケットは、会員情報にひも付いたクレジットカードか、Google ウォレット(Google Pay)/Apple Pay)にひも付いたクレジットカードで代金を支払うようになっています。券売機などでの現金購入に対応させると、アプリやシステム側の大幅な改修が必要となるため、Suicaグリーン券券売機は“あえて”モバイルSuicaを拒否しているのです次回は、モバイルSuica定期券で「エリアをまたぐ定期券」を買えない問題について尋ねます。
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