2023年は、スマホメーカーの淘汰(とうた)が続いた年だ。まず、ソフトバンクの後援を受けて参入したバルミューダは、2023年でスマホ事業から撤退した。最初のモデル「BALMUDA Phone」が市場の支持を得られず、後継機種の計画も頓挫した格好だ。
京セラも新規スマホの出荷終了の方針を示している。スマホ新規開発は2023年度で終了する方針という。ただし、法人向けに引き合いの強いタフネススマホの開発は開発を継続する方針で、auで出荷しているTORQUEシリーズの開発も続ける。
2023年5月には、FCNTが経営破綻した。スマホの設計・出荷部門はレノボグループへ事業を譲渡された。arrowsやらくらくスマホを有するスマホメーカーは、米モトローラと同じ資本系列に入ることになった。製造部門のJEMSは切り離され、ファンド傘下に入った。
国内メーカーの不調が伝えられる中で、勢いを増しているのがGoogleだ。この年のデータでは初めてトップ5に入った。
2023年5月に発売した廉価モデル「Google Pixel 7a」はドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアでの発売を実現した。ドコモの井伊基之社長はPixelの背景を「お客さまからの要望があった」としながら、「これまでは私どもの周波数が特殊だったので、コミットメント(出荷台数の確約)をしないと作っていただけない状況だった」とふり返っている。
また、同年末には総務省がスマホ値引き規制のガイドライン改定を実施した。値引き額の上限を2万円→4万円(税別)に緩和した一方で、単体販売での“抜け穴”をふさぐ改定となった。これに対してキャリア各社はスマホ購入プログラムを拡充。2年後の端末返却を条件に残価を割引する形態で、“実質12円”のような低価格販売を続けている。
2023年のAppleのシェアは52%。2位はシャープで、Google、Samsung、京セラと続いた。ソニーは6位に入っている。
Googleは5月に「Pixel 8a」を発売。こちらもドコモ、au、ソフトバンクの3キャリアが扱い、さらにシェアを伸ばすことが予想される。FCNTは再始動を経て2年半ぶりにエントリースマホの新モデル「arrows We2」を発表した。シャープもPixel 8aのライバルになり得るエントリースマホ「AQUOS wish4」を発表し、例年通りなら秋頃に「AQUOS sense」シリーズの後継機も登場するはずだ。Appleの1位はしばらく揺るぎないだろうが、Googleと国内メーカーのシェア争いに今後も注目したい。
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