AIを活用したもう1つの取り組みが、ローソンと協業した「コンビニ×AI」だ。コンビニエンスストア事業にとって次の成長にはAIやDXの活用が必要だと高橋社長。ローソンの業績自体は「非常に好調に推移していると聞いている」(同)とのことで、これを加速するためにAI・DXを活用する。
そこでまずコンビニの小商圏データとKDDIの位置情報・顧客の趣味嗜好(しこう)データを連携し、AIを活用して利用者に合わせた購買体験として「フリクションレス決済」や「最適なレコメンド」を提供。店舗スタッフ向けにも省人化で業務負荷軽減を実現する。これによって「1店舗あたりの売り上げ拡大、収益力の向上に貢献していきたい」と高橋社長。
さらにコンビニをKDDIのリアル接点として付加価値を付与する。KDDIは全国約2000店のauショップに加えて、au PAYユーザー約3500万人とauスマートパスユーザー約1500万会員という設定を有している。
ここに全国1万4600店舗というローソンの店舗を接点として加える。リモート接客を用いることで、ローソン店舗でスマートフォン契約などの手続きや故障修理、服薬指導、禁輸・保険相談などが実現できる。
さらに、この1万4600店という店舗立地を活用するプラットフォームビジネスも想定する。ここに基地局やエッジAI、ドローン拠点、防犯・防災拠点、EVステーションなどを設置することで、ローソンの付加価値を向上させる狙いだ。
もともとローソンとは共通ポイントPontaで連携していたが、提携に至ったことでPonta経済圏の拡大に寄与することも目指す。ロイヤリティマーケティングとの関係も強化し、三菱商事を加えた4社でPonta経済圏を拡大していくことに「再度取り組んでいきたい」と高橋社長。
その一環として、クーポンなどのお得なサービスを提供する有料のサブスクリプションサービス「auスマートパスプレミアム」をリブランドして「Pontaパス」に刷新。ポイントや特典の強化、商品レコメンドなどの機能を提供しつつ、ローソンの商材も加えることでローソン店舗への送客も図る。
ローソンでの会員獲得も行うことで、現在の1500万加入から2000万加入までは拡大できる、と高橋社長は見込む。
こうした新しい取り組みを行うローソン店舗について、同社の高輪ゲートウェイ移転に伴い、本社内に新店舗を設置して検証していく方針。
5Gを中心に、DX、金融、エネルギー、LX(ライフトランスフォーメーション)、地域共創に注力する「サテライトグロース戦略」も見直す。これまで2022年から2024年までの中期経営計画だったのが、1年延長して2025年までの取り組みになったことで、特にAIによる付加価値を追加する。
主力のモバイル事業はスマートフォンとIoTの回線数が戦略の基盤となることから、2025年度末までに8200万超の回線数を目指す。ここに決済・金融、でんき、補償、コンテンツ、ローソンといった付加価値を加えて、さらにローソンやau PAY加盟店といった顧客接点やID数の拡大も図る。ここに対して、AIやデータ分析によって顧客へのメリットを提供する付加価値の強化も図る。
これによってARPUの収入を拡大させ、持続的に成長させる。でんき以外の付加価値ARPUは年平均2桁成長を狙う。
現時点では、auマネ活プランがその1つの手法で、7カ月で70万契約を突破して「非常に好調」だという。解約率の改善、通信ARPUの向上に加え、au PAYカードの加入率4.4倍、au PAYカードゴールドの選択率3.5倍、auじぶん銀行の口座契約数が倍増といった効果も生まれているそうだ。
KDDIの5Gネットワーク戦略を解説 高橋社長が「他社の上に立てる」と自信を見せる理由
KDDIが語る「パケ止まり」対策 2024年度は5G本来の力を発揮、基地局数も大きな武器に
法令改正は転売ヤー対策でいい効果/ネットワーク品質トップに自信 KDDI高橋社長
KDDI高橋社長、SIM/eSIM不正再発行は「乗り換えの推進よりも非常に重要な課題」
経済圏の軸は「ポイント」と「金融」に? KDDIが「auマネ活プラン」を繰り出した理由Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.