モバイルセグメントは、売り上げ収益は同3.6%増の998億円まで拡大。Non-GAAP営業利益は719億円の損失だが同307億円の改善。EBITDAは297億円の赤字で337億円の改善となった。
楽天モバイル単体だと売り上げ収益は同7.1%増の620億円、Non-GAAP営業利益は259億円の改善となる660億円の損失。EBITDAは260億円の損失だが、成長投資となる顧客獲得費用や楽天グループに対する利益の押し上げ効果を算定すると40億円の損失という計算になり、「EBITDA黒字化は目前」だと三木谷会長は話す。
MNOサービスの売り上げは同36.3%増の361億6100万円で、MNO契約数は648万(5月13日時点で680万)、調整後MNO解約率は1.27%、MNO ARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)は2024円となった。
楽天モバイルの目標は、契約回線が800〜1000万、ARPUが2500〜3000円で、これにMVNEやBCP用途などの収益をプラスして、月次の営業費用を230〜250億円に抑えることでEBITDA単月黒字化を目指す。
こうした目標に対して、まずはKDDIとの新ローミング契約を含めて人口カバー率が99.9%に達してネットワークの改善が進んで、契約者の77.8%が改善を実感しているといった指標から通信品質の向上が顧客獲得につながっていると分析する。
さらに保有する5G Sub-6(3.7GHz帯)における衛星通信との干渉調整条件が緩和され、電波出力が上げられるようになったことで、関東地方のエリアが2024年内に最大1.6倍まで拡大。既に東海地方では約1.7倍、近畿地方では約1.1倍の拡大で、さらなるエリア拡大が期待できる。
加えて、新たに700MHz帯の新バンドが6月にも商用化される見込みで、これによってさらなるエリア拡大が図れるという。「3MHz幅という限られた帯域なので、(キャパシティーよりも)どちらかといえばカバレッジを増やす」(同)。
カバレッジの拡大では、地下鉄や屋内での自社ネットワークのつながりやすさを改善していく。2026年内には、衛星通信のSpaceMobileのサービスを開始し、「面積カバー率100%」を実現したい考え。これが実現すれば「富士山の火口でも津軽海峡でもどこでも電波が入る」(同)という。
こうした取り組みも奏功して顧客の純増数は右肩上がりで拡大。楽天カードとのキャンペーンや最強家族プログラムなどによって顧客獲得が進んだ。
楽天モバイル契約者は、楽天市場での買い物が増えるなど楽天サービスの利用が多くなるため、楽天エコシステムの収益押し上げに貢献している。これをARPU押し上げ額として、1055円のプラス効果がある、というのが同社の分析。2024年3月他月では、MNO ARPUが2024円、押し上げ額が1044円となり、トータルで3068円のARPUとなって、2022年第1四半期の1545円からほぼ倍増した。
2024年第1四半期におけるグループ全体に対する利益の押し上げ額としては98億円の効果があるとみられており、楽天モバイル単体ではなく、グループ全体に対する高い効果が得られているというのが三木谷会長の考え。
ARPU向上に向けて、さらなるデータ利用の拡大を目指すとともに、Rakuten Link内の広告にも注力して利益の拡大を図る。法人向けにも、グループ内だけでなく提携企業のサービスと組み合わせたDX化の取り組みも加えて収益の向上を目指す。
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