とはいえ、フラグシップキラーの牙は自身にも向かってしまいかねない。Xiaomiの「Xiaomi 14 Ultra」のようなフラグシップモデルにはSnapdragon 8 Gen 3のような最新のプロセッサが採用され、カメラもライカとコラボレーションしているなど差別化は図られているものの、価格はPOCO F6 Proの2倍以上。同じ予算を用意すれば、POCO F6 Proが2台買えてお釣りまできてしまう。同社のミッドレンジモデルである「Redmi Note 13 Pro+ 5G」などとも競合しかねない。
では、XiaomiはどこでPOCOシリーズの差別化を図っているのか。1つには、その端末の性能がある。確かにプロセッサはフラグシップモデルに採用されるSnapdragon 8 Gen 2だが、カメラは広角カメラが800万画素で、もう1つは200万画素のマクロカメラ。メインカメラとの差が大きく、フラグシップモデルに搭載されるような望遠カメラには非対応だ。
また、5Gの対応バンドやセンサーの種類なども、フラグシップモデルのXiaomi 14 Ultraと比べるとやや少ない。ドコモが5Gのメインバンドとして活用している「n79」に非対応なため、接続性にも違いが出てしまう可能性もある。当然ながら、Redmi Note 13 Pro+ 5Gが搭載していたFeliCaにも非対応で、おサイフケータイは利用できない。こうした細かな部分では、しっかりコストダウンが図られている。
それ以上に大きいのが、販路の違いだ。POCO F6 Proを取り扱っているのは、Xiaomi Japanの公式オンラインストアと、楽天市場、Amazonのみ。オンラインストアに特化して販売しており、家電量販店などの実店舗はもちろん、大手キャリアやMVNOの取り扱いもない。ネットでしか購入できない商品のため、ユーザー層が大きく異なるというわけだ。ふらっと店舗を訪れて実機を見比べながら端末を選ぶような人ではなく、スマホの情報に敏感で、かつPOCO F6 Proを指名買いするスタイルの人がそのターゲットになる。
Xiaomi Japanのマーケティングマネージャー、片山将氏によると、POCOシリーズは「グローバル全体で販路をオンラインに絞るなどして、高いコストパフォーマンスを実現してきた」という。もともとXiaomiはハードウェアの利益率を他社より低い5%以下に設定しており、ギリギリまで切り詰めた価格を打ち出しているが、POCOシリーズに関しては販売マージンも削減しているというわけだ。
逆にいえば、既存の販路ありきだとここまでの価格を実現するのは難しい。既存のXiaomiのスマホと差別化できるのと同時に、コスト削減にも貢献しているといえる。こうした戦略が当たり、グローバルでは「立ち上げてから6年間で、出荷台数は6000万台を超える形になった」(同)という。販路が楽天やAmazonといった大手ECに限られているのは、この戦略を踏襲したからだ。
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