「2023年、特殊詐欺に悪用された携帯電話回線契約において、偽造とされるマイナンバーカードが1回線だけ」──。河野太郎デジタル大臣は6月8日、自身のWebサイトで、このようなデータを公表した。券面の複製=個人情報が盗み取られる、などという誤情報が広まったことを受け、デジタル庁は河野大臣を筆頭にマイナンバーカードの安全性をしきりにアピールする。
河野大臣によると、同年、特殊詐欺に悪用された携帯電話回線のうち、契約時の本人確認に使われた書類は運転免許証が534回線と最多で、偽造運転免許証が386回線。マイナンバーカードが本人確認に使われたものは23回線、うち偽造マイナンバーカードは1回線だった。
健康保険証が本人確認に使われていたのは13回線、うち偽造保険証が10回線。在留カードは45回線、うち偽造カードが19回線となっていた。その他の本人確認書類が4回線、うち偽造が3回線だった。
河野大臣はどの本人確認書類がどれくらいの割合で使われたのかも公表した。最も高いのが保険証で77%、次いで免許証が72%、在留カードが42%、マイナンバーカードが4%となった。
最近は偽造したマイナンバーカードで契約した携帯電話に関する報道があり、あたかもマイナンバーカードそのものに問題があるかのような論調で批難する声もあるが、マイナンバーカードの券面のみを複製、または偽造しただけでは、マイナンバーカードのICチップを必要とする認証およびサービスは利用できない。
河野大臣も、携帯電話契約時において「本人確認書類を目視で確認するのではなく、マイナンバーカードか運転免許証のICチップの読み取りが一番確実な方法だ」としている。さらに、河野大臣は「PCにカードリーダーを設置すれば、無料のソフトウェアでマイナンバーカードのICチップを読み取れる」ことも説明し、ICチップの読み取りを強く推奨するとしている。
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