ドコモの新料金「eximo ポイ活」を分析 お得だが“dカード必須”が障壁に、裾野拡大には課題も石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2024年08月03日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

還元対象になる決済は広い、狙いはdカードの取扱高拡大か

 ahamoポイ活と違い、eximo ポイ活での還元にdカードが必要になったのは、ユーザーの声を受けてのことだという。ドコモの コンシューマサービスカンパニー マーケティング戦略部 部長 山本明宏氏は、「(ahamoポイ活の)お客さまから、dカードをメインで利用しているので、カード決済にも対応してほしいという声が一定数あった」と明かす。

 実際、キャッシュレス決済でも割合が高いのはクレジットカード。「キャッシュレス決済は約4割まで拡大しているが、中でもクレジットカードは8割を超えるなど、いまだに需要が大きい」(同)のが現状だ。還元対象をd払いのようなコード決済に絞ってしまうより、キャッシュレス決済の実態に即した還元方法になっているといえる。

eximo ポイ活 キャッシュレス決済の比率は年々拡大しているが、クレジットカードの割合は8割以上と高い

 例えば、毎月支払う電気、ガス、水道などの公共料金は、都度決済のための操作が必要ないクレジットカードの方が簡単。ネットショッピングも、コード決済は対応状況にばらつきがあり、必ずしも利用できるとは限らない。逆に、クレジットカードならほぼ確実に対応しているため、利用シーンは広い。「還元対象にdカードを加えることで、より一層ポイント獲得が加速させる」(同)ことができるというわだ。

eximo ポイ活 公共料金の支払いやネットショッピングでもポイント還元を受けられるのが、クレジットカードを対象にしたメリットだ

 ドコモにとっては、dカードの取扱高が上がるのがメリットになる。山本氏も、「dカードをサブでお使いの方いる」としながら、「ポイ活プランで、支払いをこちらに寄せていただきたい」と語る。想定しているのは、複数のクレジットカードを併用しているケースで、「他社のカードでお支払いしていたものを、dカードにしていただければ、あらゆる場面でお得を感じていただける」(同)。

 dカードの契約者数は、2023年度で1775万に伸びている。このうちdカードGOLDは1065万で、ゴールドカード比率は業界トップクラスの6割にも上る。契約者数は2023年にカード発行枚数で3000万を超えた楽天カードに及ばないものの、大手3キャリアの中では最大規模。「ポイントや特典を多く得られるお得なカードという認知が過半数」(同)といい、ユーザーからの支持も厚い。

eximo ポイ活 dカードの契約数は、23年度で1775万に拡大。dカードGOLDは1065万契約で、その比率は6割にもなる

 ドコモは、2024年10月にdポイントクラブも改定し、“dカードシフト”を強めていく。10月3日から、ランクによるポイント倍率アップ特典が一部下がる一方で、d払いの決済につくポイントが上乗せされる「d払い特典」を新設する。このd払い特典も、dカードやdカードを設定した携帯料金合算払いのみが対象。残高での還元は受けられない。料金プランやポイントプログラムとdカードをより密接にひも付けることで、取扱高を上げていきたい狙いが透けて見える。

eximo ポイ活 10月には、dポイントクラブの改定も控える。こちらでも、dカードシフトが強まる予定だ

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