こうした点は、同じ決済連動の料金プランでも、コード決済サービスのPayPayと連動しているソフトバンクの「ペイトク」と対照的だ。ペイトクは、残高やポイントでの支払いも還元の対象になる一方で、PayPayカードでの直接決済には非対応。他社をリードするコード決済のPayPayに還元を寄せることで、利用を促進している。
また、KDDIの「auマネ活プラン」は、単純な決済に応じたポイント還元ではなく、auじぶん銀行やau PAYカードをひも付け、毎月800円分のau PAY残高を還元する仕組みだ。これに加え、au PAYゴールドカードでのポイント還元率やauじぶん銀行の金利が上がる特典も用意されている。傘下の金融サービスとの相乗効果を狙った料金プランといっていいだろう。
対するドコモは、金融サービスは拡大の途上で、コード決済以上にdカードが強い。その意味では、各社とも金融・決済分野での得意分野を生かし、料金プランと連携させてきたと言えそうだ。一方で、気軽に利用できるコード決済とは違い、クレジットカードは契約のハードルも上がるため、eximo ポイ活がどこまで伸びるかは未知数だ。これは数字にも表れている。先に挙げたように、dカードは2023年度で1775万契約まで伸びている一方で、d払いのユーザー数である5199万と比べるとユーザー数の規模は小さい。
また、キャンペーンが終了すると、レギュラーのdカードは3%まで還元率が下がってしまうため、eximo ポイ活を選択するメリットが薄くなる。結果として、事実上の対象ユーザーになるのは1065万のdカードGOLD契約者に絞られる。その意味では、d払いの残高払いも対象になっていたahamoポイ活の方が受け皿は広い。dカードGOLDを持ち、eximoに契約していたユーザーは飛びつく可能性は高い反面、その裾野はやや狭くなる恐れもある。
ドコモは、若年層の比率が高いahamoはコード決済、逆に年齢層の高いeximoはdカードといった形ですみ分けを狙っているようだ。山本氏も、ahamoポイ活がd払いを対象にしていた理由について、「若者はコード決済との親和性が高い」と語っていた。dカードで還元を受けらえるeximo ポイ活とは、「役割をすみ分けている」(同)というわけだ。
とはいえ、2つのポイ活プランでポイント還元の条件が微妙に異なっているのは、少々複雑に見える。d払いを対象にするなら、還元条件はahamoポイ活とそろえつつ、dカードでの直接決済だけをeximo ポイ活の追加特典にした方が、よりシンプルになったのではないか。dカードの取扱高を伸ばしたいのは理解できるが、ドコモ側の都合が前面に出すぎている印象も受けた。
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