日本ではいわゆるスマホメーカーという見方をされていたXiaomiだが、これは同社の一面でしかない。確かに売り上げを占める割合はスマホが高いものの、欧州やアジアなどの海外ではIoT製品や雑貨などまで幅広く手掛けるメーカーとして有名だ。こうした製品群を自社ストアで展開し、ブランド化していくのがXiaomiの戦略だ。IoT製品であれば、それを制御するスマホとのシナジー効果も期待できる。
一方で、スーツケースやバッグ、ボールペンなどの雑貨ともいえる製品は、当然ながらスマホやタブレットとは一切連携しない。Wi-FiやBluetoothはおろか、バッテリーも内蔵していない。デザインのテイストは一部共通しているものの、スマホとは関係性は薄い。むしろないといってもいいほどだ。では、なぜXiaomiはこうした製品を展開しているのか。
Xiaomi Japanのプロダクトプランニング本部長を務める安達晃彦氏は、「本国(中国)だと、ドライヤーや鼻毛カッターなどまであり、製品がグラデーションでそろう。こんなのがあったらいいんじゃない? という声も聞いて出している」と話す。「せっかく店舗に来たのに手ぶらで帰りたくないという人でも、数千円ぐらいのものなら取りあえず買ってみようという気になり、少しずつ(Xiaomiブランドが)浸透していく」(同)。
確かに、メディアなどで初めてXiaomiを知り、店舗に来てみたユーザーがいきなり数万円、時には20万円に迫るスマホを買うシチュエーションは想像しづらい。そこに数千円程度で気軽に買える製品があれば、心理的なハードルを下げる効果がある。品質がよく、利便性が高ければ、次はスマホを買ってみてもいいのではと思えるかもしれない。Xiaomiブランドを知るための入口として、これらの製品が機能するというわけだ。
Xiaomiは、「日本にグローバルの戦略をなるべく持ってくる」(同)方針で、規模を拡大している。8月にスマホ、タブレット以外の製品を一気に増やしているのは、そのためだ。本国が展開しているラインアップは膨大にあるが、今はスピード優先。「国に合わせたカスタマイズの度合いによって導入可否や順番が決まる」(同)といい、仕様を変えずにそのまま販売できそうな製品から日本での展開が決まっている状況だ。
裏返すと、ラインアップの拡充は、日本で店舗をオープンする機運が高まっていることを意味する。Xiaomiストアを出店する布石として、スマホやタブレット以外の製品をそろえているというわけだ。安達氏は、「リテールチームが、日本のスタッフとどこがいいのかも含めて具体化の検討に入っている」と明かす。場所や物件などが決まったわけではないが、実現を前提にして条件などの検討をしていることがうかがえる。
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