Xiaomiが“スマホじゃない”31製品を一挙投入するワケ 「ブランドの入口」になり「自社ストア開設」への布石にも石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2024年08月31日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
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日本での常設店検討も具体化、ポップアップストアで蓄積したノウハウも生かす

 日本に店舗を構えるための条件も、徐々にそろいつつある。1つが、スマホのシェアが順調に拡大していること。同社は2024年第2四半期(4月から6月)の国内出荷台数で、Apple、Googleに次ぐシェア3位を獲得(Canalys調べ)。4月に「Redmi 12 5G」、5月に「Redmi Note 13 Pro 5G」や「Redmi Note 13 Pro+ 5G」などを立て続けに投入しており、好評を博しているようだ。

Xiaomi 第2四半期にはシェア3位を獲得し、ブランド名も徐々に浸透し始めている

 また、ライカブランドのカメラを備えたフラグシップモデルの「Xiaomi 14 Ultra」も、5月に発売した。派生モデルや廉価モデルではない、ど真ん中のフラグシップモデルは初上陸だったが、こちらも話題性は十分でカメラ機能への評価も高い。約20万円と価格が高いため、ミッドレンジモデルなどと比べると納入数自体は少ないものの、販路によってはすぐに品切れになってしまっていたほどだ。

Xiaomi Xiaomi製のスマホとして日本で初めてライカブランドを冠したXiaomi 14 Ultra。発売時には大きな話題を集めた

 渋谷PARCOに9月30日まで出店しているポップアップストアも、正式出店を控えた準備の一環だ。同店舗はグローバルで展開しているストアと什器や展示方法などをそろえ、その雰囲気を再現。実際に販売を行うことで、日本におけるオペレーションなどのノウハウも蓄積している。8月に発表された各種新製品が追加されたことで、品ぞろえも海外の店舗に近づきつつある。

 比較的、長期間に渡ってポップアップストアを運営し、「夏休みも重なったことで、運営のノウハウもたまってきた」(同)。実際、店舗を必要とする人は少なくないようで、スマホでも「実機を試してみたい、見てみたいというニーズがある」(同)。ポップアップストアでは、オンライン専用モデルとして展開している「POCO F6 Pro」も販売したが、家電量販店などで実機を見ることができないだけに、「あのポップアップストアでは引き合いが強かった」(同)という。

Xiaomi 渋谷PARCO内のポップアップストアは9月30日まで。日本での運営ノウハウも蓄積してきたという

 海外メーカーでは、AppleがApple Storeを日本各地に展開している他、サムスン電子もGalaxy Harajukuでオープンマーケットモデルの販売を行っている。前者は販売店という色合いが濃い一方で、後者は宣伝も兼ねたショールームとしての役割が大きい。常設店舗に対するXiaomiのスタンスは、どちらかといえばAppleに近い。キャリアや量販店での販売にとどまることが多い海外メーカーとしては異例ともいえる動きなだけに、同社の動向に注目が集まる。

 とはいえ、物件が好立地になればなるほど、空きが少なくなる上にコストも高くなってしまう。物件所有者との交渉も必要になるため、渋谷PARCOでのポップアップストアが終了し次第、すぐに出店できるような状況ではない。計画がまとまるまでは、ポップアップストアの第2弾、第3弾でつないでいく可能性もある。安達氏は「公式ストアの展開については、情報がアップデートされたらお伝えしたい」と語っていたが、そのときを期待して待ちたい。

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