今回、Xiaomi 14 UltraとAQUOS R9の両者を使用してきたが、やはりカメラ性能のハードウェア的な部分から埋められない大きな差があった。一方、筆者としては、スマートフォンで「ライカを体験したい」だけなら、いきなりカメラ特化のXiaomi 14 Ultraを選ぶ必要はないと考えている。ここまで見てきた通り、ズーム性能や細かい表現では劣るものの、AQUOS R9もかなり健闘している。
Xiaomi 14 Ultraの利点は卓越したカメラ性能はもちろん、フラグシップのスペックを備える「最上位」のスマートフォンだ。専用のPhotography Kitなどをはじめ、カメラ機能だけでなく「撮影体験」にも特化している。
どちらか、例えばスマートフォンよりもスマホ機能の付いたカメラに近い感覚で、かつてパナソニックがLUMIX センチ1をカテゴライズした「コミュニケーションカメラ」の立ち位置が最も近いと考える。
難点は、カメラ以外の使い勝手で普段使いでは不満に感じること。例えば電池持ちが競合機種と比較してやや悪い点、FeliCa(おサイフケータイ)に対応しない点といったスマホとしての使い勝手の悪さが目につく。実機の体験や購入できる販路も限られており、AQUOS R9に比べると入手性やケースなどのアクセサリーも乏しい。
AQUOS R9の利点は「普段使い」にもきっちり対応できるところだ。おサイフケータイ(FeliCa)の対応はもちろん、microSDが使えるといったハードウェア的な利点を持つ。IP6X、IPX5/IPX8の防水・防塵だけでなく、MIL-STD 810-H(16項目)の取得をはじめとした耐久面も安心できる。
ソフトウェア面でも「かんたんモード」をはじめとした利用者のニーズにこたえる機能を多く備えている。ドコモ、ソフトバンクでも取り扱いのあるため、購入後のサポート面でAQUOS R9を狙うのもアリだ。
ここで価格を見ていこう。Xiaomi 14 Ultraはストレージ512GB、Photography Kit付属で価格は19万9900円。これに対しAQUOS R9は10万円前後、キャリアモデルも11〜12万円前後の設定だ。
本来AQUOS R9の比較はXiaomi 14 Ultraではなく、Xiaomi 14(日本未発売)やXiaomi 13T Pro(日本版はライカなし)が価格帯を考えると適切だ。今回は「日本で販売されているライカ監修のスマートフォン」としてこの2つを選定した。
基本性能やカメラ性能を加味すれば、この価格差は納得できる。Xiaomi 14 Ultraのカメラ性能は、現在世に出ているスマートフォンの中でも5本の指に入る高いレベルにいる。基本性能、撮影時の操作性をはじめ「カメラスマホ」としてみた時はAQUOS R9を大きく引き離す。
一方で「日本で使うスマートフォン」として見た際の満足感はシャープの方が好印象だ。FeliCa対応などをはじめとした日本向けの機能がかなり充実しており、単純にスマートフォンとして使いやすい。
Xiaomi 14 Ultraを愛用している筆者も、本機はあくまで「カメラフォン」という2台目スマホのポジションで使っている。持ち出すうちの1台には入るが、普段は他のスマートフォンを利用することが多い。
仮に「どちらか1台しか持てない」と言われたら、トータルのバランスのよさでAQUOS R9を選択する。2台持ちが許されるのなら迷わずXiaomi 14 Ultraを選ぶ。
そんなライカのカメラを冠するこの2機種は予算はもちろん、スマートフォンにおいて重視するものがカメラなのか、普段使いのバランスなのかで大きく変わってくる。筆者としては、妥協のないカメラ性能を求めるのならXiaomi 14 Ultra、カメラ性能と普段使いの勝手の良さを両立させたスマートフォンならAQUOS R9を選択するとよさそうだ。
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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