KDDIは2024年9月3日と4日、「KDDI SUMMIT 2024」を開催。基調講演に高橋誠社長が登壇した。「通信とAIの組み合わせによる無限の可能性」がテーマであったが、実際、キャリアが手がけるビジネスとAIとのシナジーの高さが改めて紹介された。コンシューマーのみならず、法人や国際、スタートアップ支援など、どの事業においてもAIと組み合わせる事で、新しい展開が期待できるような内容であった。
この記事は、毎週土曜日に配信されているメールマガジン「石川温のスマホ業界新聞」から、一部を転載したものです。今回の記事は2024年9月7日に配信されたものです。メールマガジン購読(税込み月額550円)の申し込みはこちらから。
プレゼン資料にはなかったが、高橋社長としては「オンデバイスAI推し」な感じが伝わってきて、個人的にも面白かった。特にOpen AI Japan社長の長崎忠雄氏に対して「来週、新しいiPhoneが発表されるが、ChatGPTが対応する可能性はどう捉えているか」といった質問を最後にぶつけてくれる辺りは、メディアや一般の関心がきちんと把握している感じで、ありがたかった。
確かにOpenAIにとってみれば、一般のユーザーにリーチできるという点において、アップルと最初に組めたというのは大きいだろう。
ChatGPTは最新で2億人のユーザーがいると明らかにされたが、やはりPCからのブラウザベースが中心なのだろう。長崎社長も言っていたが、20億近いユーザーがいるiPhoneにChatGPTが搭載され、世界中からモバイル環境でアクセスされていくと、生成AIとしての可能性も飛躍的に伸びることは間違いない。
来週、アップルがさらにどのようなChatGPT連携を見せてくれるのか、とても楽しみだ。
「オンデバイスAI推し」という点においては、9月6日にメディア向けに一部の技術が公開された「SHARP Tech-Day’24 “Innovation Showcase”」(9月17〜18日、東京国際フォーラムで開催)も面白かった。
シャープではエッジAIと言っているが、ユーザーがデバイスに話しかけるとエッジAIが最初に対応しつつ、要求をクラウドAIに投げて、答えを返すというデモを行っており、その反応速度がきちんと時間で表してくれているのだ。
ユーザーが「オススメの食べ物を教えて」と問いかけると、まずエッジAIが0.07秒で「ちょっと待って」と応え、クラウドAIが0.9秒で「おにぎりと味噌汁がオススメですよ」と応えてくれるといった具合だ。説明員によれば「去年は返事に2秒ぐらいかかっていた」といい、実際、このデモでは最新のスマートフォンに搭載されているようなチップでエッジAIの処理を行っているとのことだった。
ユーザーの問いかけに対して、エッジAIが迅速に応えて、クラウドにつなぐ、あるいは個人情報を扱う際にはエッジAIだけが応えるといった使い分けを瞬時に行っているというわけだ。
エッジAIやオンデバイスAIの処理能力は決して高いとは言えないが「クラウドAIに投げるまでの間つなぎ」という役割だけでも、意外と存在価値はあるのかも知れない。
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