初代Apple Watchの登場から間もなく10年がたとうとしている。その間、Apple WatchはApple Payやセルラー通信を取り込み、機能的にも大きく進化してきた。2023年に発売されたApple Watch Series 9では、iPhoneやiPadなどでおなじみのNeural Engineも取り込み、機械学習を端末内部でより素早く処理できるようになっている。
10周年を迎えるApple Watchの集大成として発売されるのが、Apple Watch Series 10だ。同モデルの発売に先立ち、46mm版の実機を試用することができた。そのレビューをお届けしよう。
Apple Watch Series 10最大の特徴は、そのサイズ感と重量だ。まず、ディスプレイは大小それぞれ1mmずつ拡大しており、より表示領域が大きくなった。Series 10は小サイズが42mm、大サイズが46mmだ。42mmという数字に聞き覚えがある人も多そうだが、実は初代モデルでは大サイズが42mmだった。徐々に表示領域を広げてきた結果、小さいApple Watchが10年前の大きいサイズに追い付いてしまったというわけだ。
ディスプレイサイズが拡大した一方で、厚みは大幅に削減されている。42mm、46mmともに厚さは9.7mm。Series 9までの10.7mmから1mmも削減されている。たったの1mmと思うかもしれないが、10.7mmからの1mmは割合も大きいため、違いは歴然だ。筆者が普段着けているApple Watch Series 8のHermesモデルと比べると、ちょうどディスプレイのガラス1枚分ほど薄くなっていることが分かる。
これによって、腕に着けたときのボテッとした印象がかなり薄まり、スタイリッシュさが増している。一度Series 10を着けてしまうと、それ以前のモデルが少々やぼったく感じてしまうほどだ。本体裏にあるセンサー部分の厚みも削減されているため、装着感が向上している。腕に着けたときの“異物感”が減っているため、自然に装着可能。普段時計をしていない人でも、抵抗感なく装着できそうだ。
さらに大きいのは、重さが減少したことだ。特に変化が大きいのは、光沢感の強いチタニウムモデル。もともとステンレススチールを採用していた高級版だ。この素材がステンレススチールからチタニウムに変わったことで、小サイズは42.3gから34.4gに、大サイズは51.5gから41.7gにまで軽量化している。
特筆すべきは、Series 9までの小サイズよりも、Series 10の大サイズの方が軽いことだ。上記の写真から分かるように、普段筆者が着けているSeries 8は41mmの小サイズ。今回試用したSeries 10は、46mmの大サイズだ。もともと筆者は、大きいサイズのズッシリとした重量感が少々苦手だったこともあり、歴代Apple Watchは小サイズを選択してきた。ところが、Series 10は大サイズの46mmを着けてもまったく違和感がない。薄く、軽くなったことで、むしろ大サイズの方がしっくりくると思ったほどだ。
余談になるが、筆者は今回、Series 10の大サイズを購入することにした。サイズ変更に伴い、これまで集めてきたバンドが全て使えなくなってしまうため、決断にはかなり時間がかかったが、その価値はあると感じた。46mmもあれば、いざというときにキーボードを使えたり、電卓で計算したりするのも簡単。42mmより、情報量も多くなる。この軽さは、ぜひ一度装着して体感してみてほしい。
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