もう1つの仕掛けが、auスマートパスプレミアムをリニューアルするPontaパスだ。こちらは、「ローソンでワクワクをもっと」をコンセプトにしたサブスクリプションのサービスで、既存のauスマートパスプレミアムに加え、ローソンで活用できる特典を大幅に拡充する。料金は548円(税込み、以下同)で据え置きのまま、還元を手厚くしていく。
1つ目が、週替わりのクーポン。からあげクンやコーヒーが無料になったり、ケーキが半額になったりするクーポンを、毎週配布する。総額は600円以上。これだけで、Pontaパスの月額料金は元が取れてしまう。配布するクーポンの種類は、「AIを活用してレコメンドする」(同)システムも導入していくため、好みの商品が安価に手に入る可能性が高まりそうだ。
さらに、「Pontaパスブースト」として、au PAYでの決済につくポイントを最大2%に向上させる。毎月最大500ポイントという制限はあるが、こちらも月額料金以上の還元になる。高橋氏は、クーポンとPontaパスブースの還元で、「最大1100円以上お得になるので、このサービスに入っていただくしかない」と自信をのぞかせる。auスマートパスプレミアムは現時点で約1500万契約だが、リニューアルによってこれを2000万契約まで引き上げていく計画だ。
ちなみに、2%という還元率は、ローソンが導入しているドコモのdポイントを強く意識していることもうかがえた。ローソンでdポイントカードを提示すると、通常は0.5%が還元される。ただし、同店では16時から23時59分まで、還元率を1%に向上させている。さらにdポイントは、dポイントクラブのランクが「2つ星」で1.5倍、「3つ星」「4つ星」で2倍になる。条件を比較的達成しやすい「3つ星」の場合、dポイントカードを提示するだけで2%が手に入るというわけだ。
10月3日にdポイントクラブが改定されると3つ星の還元率は1.5倍まで下がるが、それでも16時以降だと還元率は1.5%になる。d払いの1.1%と合わせると、2.6%還元だ。これに対し、PontaパスのPontaブーストが適用された状態でau PAYを使い、Pontaポイントカードを読み取ってもらうと還元率は最大で3%になる。Pontaパスをトリガーにしつつ、ローソンでのお得感を演出することでauやUQ mobileのユーザーを送客する狙いが透けて見える。
auスマートパスプレミアムはキャリアフリーのサービスだが、名称が名称なだけに、auやUQ mobileのユーザー比率は高い。一方、Pontaパスにリニューアルすることで、その対象はローソンの利用者など、Ponta加盟店に通う人に広がる。回線契約者をローソンに送り込みつつ、逆にローソンの効果で他キャリアのユーザーにPontaパスを利用してもらえれば、KDDIにとっても新たな収益源になる。データ容量にクーポン、ポイントと連携方法が少々生々しすぎるきらいもあるが、各サービスを発表したことで、KDDIとローソンのシナジーがより明確になったといえそうだ。
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