ここまでの解説は12月25日までの話だ。先述の通り、12月26日以降は改正後の「電気通信事業法第27条の3等の運用に関するガイドライン」が施行される。それに伴い、特価iPhoneはもちろん、多くのスマホの実質価格が数万円ほど高くなる可能性がある。
この理由は、各キャリアが端末購入サポートで、24カ月目あたりにスマホを返却した場合の割引額について、新たな基準を求められるようになったためだ。新基準では中古スマホを取り扱う企業の業界団体である一般社団法人リユースモバイル・ジャパン(以下、RMJ)がWebサイトで公表する実際の買い取り平均額を根拠として、割引額を設定することが義務付けられる。
先ほどの特価iPhone 15 128GBの場合、端末購入サポートによる割引額は8万5592円だ。2年後にiPhone 15 128GBを買い取りに出した場合、残価率66%で買い取ってもらえる前提でこの割引額を出している。中古ショップの買い取り相場と比べると若干高め、もしくは新品に近い美品を想定した予想金額といえる。
では、12月26日以後の割引額はどう変化するのだろうか。総務省のガイドラインの内容と、公開されている買い取り平均額からおおまかに予想してみよう。
端末購入サポートの割引額は12月26日からRMJが公表する過去の平均買い取り価格のデータをもとに、過去の同型機種の発売時の価格と発売後の平均買い取り額の残価率を参考に決める。
下のグラフではRMJが公表する買い取り平均額からiPhone 12、iPhone 13、iPhone 14、iPhone 15の金額を取り出し、当初のメーカー直販価格に対する買い取り金額の割合の推移を示した。
なお、グラフではキャリアの販売価格ではなく、メーカー直販価格に対する買い取り価格の推移を採用している。総務省のガイドラインでは、2024年12月25日以前に発売された端末についてはメーカーの販売当初の直販価格を計算に用いる、という内容に合わせるためだ。
グラフを見ると、iPhone 12 128GBの24カ月後の買い取り価格は約60%になることが分かる。ただ、iPhone 12とiPhone 13は途中で急激な円安やiPhone 13の値上げといった環境の変化で残価率がやや上振れしている。実際には50〜60%の間といった方が実態に近いだろう。
この結果をもとに、前半の特価iPhone 15 128GBの今後の価格を予想してみよう。残価率は総務省のガイドラインに記載されている“「端末の販売時点からnカ月目の残価率」を、「発売からnカ月目の買い取り平均額÷各電気通信事業者における販売当初の販売価格」”という内容から計算している。
ここでは、端末購入サポート(ドコモ:いつでもカエドキプログラム)の割引額を、先ほどのグラフをもとに、23カ月後のiPhone 15の残価率を60%にした場合と、55%、50%だった場合について計算した。
結果、どのパターンでも現状の特価iPhone 15の実売価格は数千円から2万円程度、値上がりする結果となった。実際には販売方式や残価率が異なる他、キャリアによっては異なる販売方法を模索する方法もあるため、必ずしもこの通りにはならない。だが、大きな動きがなければ当面の値上がりは避けられない、と考えていいはずだ。
現在、新しいiPhoneへの買い替えとMNP契約でお得な他社料金プランへの乗り換えを考えている人は、12月26日を迎える前に一度店頭でお得なモデルがないか相談した方がいいだろう。繰り返しにはなるが、12月26日以降、各キャリアの端末購入サポートを利用した場合の実質価格が値上がりする可能性は高い。
特に、実質価格が24カ月後の返却で47円などのiPhone 15 128GBなどはあまり迷う必要がない。12月26日以降に実質価格が上がる可能性が高くなり、実質価格がこれ以上安くなることはないからだ。
特価iPhone 16や他のiPhoneを購入する場合も同様だ。一度、目当てのiPhoneが店頭でのMNP契約で最大4万4000円を受けられないか相談してみよう。
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