インドやアフリカを中心にスマートフォンを展開するTranssionグループ。TECNO、infinix、Itelの3社を傘下に収めており、インド、アフリカ、東南アジア地域の新興国を中心にシェアを持つメーカー群だ。
その中でもTecno(テクノ)は技術投資も積極的なメーカーとして知られる。今回、MWC Barcelona 2025にて「激薄」のスマートフォンを披露した。
TecnoがMWC 2025で公表したスマートフォンのコンセプトモデルが「TECNO SPRAK Slim」となる。本機種は最薄部5.75mmと極度に薄くなっており、1月に予告されたGalaxy S25 edgeに対抗するポジションと評価できる。
スペックは2720×1224解像度、120Hzのリフレッシュレートに対応するOLEDディスプレイ、8コアプロセッサ、8GBのメモリと128GBのストレージを備える。カメラは5000万画素のメインカメラ、5000万画素の2倍望遠カメラを備える。
このコンセプトモデル最大のポイントは大容量バッテリー。本機種は5200mAhのバッテリーを搭載しており、薄型軽量化しても同型クラスのスマートフォン並みの容量を備えられることを示した。45Wの急速充電にも対応する。
実機を手にしてみると、サイズの割に非常に軽量なことに驚く。それもそのはずで、コンセプトモデルは6.7型クラスのスマホでは驚異の146gまで軽量化されている。極限まで重量を削る姿勢はかつてシャープが発売した「AQUOS Zero」シリーズを連想させる。メーカー担当者の話では、本機種は試作段階の際に140gまで軽量化したが、本体の重量バランスを考慮した結果、この重量になったという。
Tecnoは本機種をここまで薄くできた理由について「折りたたみスマホの開発ノウハウを応用した」と説明する。薄くしても強度を備える筐体素材や加工技術、薄型化できる各種パーツ類、高密度バッテリーといった要素がそろったことで、薄型スマホを開発できたという。
Tecnoも「Phantom V Fold」という折りたたみスマホを販売しており、2024年には3つ折りスマートフォンのコンセプトモデルも公表している。高い技術力を持ち合わせていることが伺える。
薄型のスマートフォンという新たなトレンドが注目を集めつつある。今回のTecnoのコンセプトはもちろん、サムスンは薄型のGalaxy S25 edgeを予告している。AppleもiPhoneの薄型モデルを近いうちに登場させるのではないかとうわさされている。これは折りたたみスマホのノウハウを生かした軽量、大画面のスマートフォンが今後も登場していくことを示している。毎日手にするスマートフォンが軽量であることに越したことはない。
バッテリー技術の進化によって、薄型化しても大容量のバッテリーを搭載できることも大きい。従来の薄型軽量モデルはバッテリー容量を犠牲にしていたが、薄型かつ高密度なバッテリーで対応してきた。今回のSPARK Slimもコンセプトモデルとは思えないくらい完成度が高く、このまま出してほしいくらいに感じたほどだ。
今回のコンセプトを展示したTecnoも本機種ほどではないが、薄型化したSPARKシリーズを2025年中に発表するとしている。Galaxyが予告した以上、今後同じようなコンセプトの薄型スマホが登場することは間違いなさそうだ。
バルセロナで見つけたスマートフォンの新たなカタチ。こんな機種が出てきたら、またスマホ市場が面白くなるだろう。
佐藤颯
生まれはギリギリ平成ひと桁のスマホ世代。3度のメシよりスマホが好き。
スマートフォンやイヤフォンを中心としたコラムや記事を執筆。 個人サイト「はやぽんログ!」では、スマホやイヤフォンのレビュー、取材の現地レポート、各種コラムなどを発信中。
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