iPhone 16eではAppleが開発したモデム「C1」を搭載したこともトピックの1つだ。高速で安定した5G通信のために搭載しており、電力効率が向上したことで長時間のバッテリー駆動を可能としている。また、GPSへの対応やAppleの衛星通信の対応も、C1が実現しているという。
今後、このC1モデムが他のApple製品にも搭載されていくのかは気になるところだが、ドランス氏は、ハードウェアとソフトウェアの両面で、さまざまな製品に広がっていく可能性があると述べる。通信品質については未知数の部分も多いが、バッテリーの持ちが向上することは歓迎すべきこと。次期iPhoneへの搭載も期待される。
自社開発のモデムに変更された一方で、iPhone 16eは、これまで他のiPhoneが対応していたLTEのバンド11と21が省かれてしまった。いずれも1.5GHz帯で、ドコモ、KDDI、ソフトバンクが運用している。LTEのつながりやすさに影響が出ることが懸念されるが、これらのバンドが省かれたのはC1の影響なのだろうか。
ドランス氏によると、バンドの変更はC1とは全く関係がなく、日本モデルのカテゴリーに起因するものだという。iPhoneは販売する国や地域ごとに複数のモデルが存在する。例えばiPhone 16の場合、日本で販売されているモデル「A3286」は、カナダやメキシコなど合計で13の国や地域をカバーしている。
一方、iPhone 16eの日本モデル「A3409」は、カバーする国や地域が一気に188まで拡大している。16eにもカナダやメキシコをカバーするモデル「A3408」が存在するが、ここから日本が外れ、東南アジアや欧州など、より多くの国を含むモデルに移ったためだ。これらの国や地域に最適化を図る中で、日本専用のバンド11と21は外れてしまったのだと思われる。
バンド11と21が使われているエリアは、他のLTEバンドもカバーしており、Appleとしては即座に影響が出ることはないとの考え。国内キャリアともネットワークの検証テストを行っており、安定した結果が出ているとのこと。他のiPhoneと同等の通信品質であることに自信を持っているようだ。
細かい話だが、iPhone 16eが搭載するA18は、GPUのコア数がiPhone 16の5コアよりも少ない4コアとなっている。高負荷のゲームではわずかな差が出るかもしれないが、ドランス氏によると、グラフィック要求の高いゲーム体験でも、iPhone 16eは決して引けを取らないという。また、少なくともApple Intelligenceの機能では、何ら影響ないとのこと。
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