ドコモの代表取締役副社長でコンシューマサービスカンパニー長を務める齋藤武氏は、「データ容量に応じたさまざまなプランを提供してきたが、一方でニーズは多様化している」と語る。こうしたニーズに応えるため、「興味関心やさまざまなバリューを盛り込んだプランに一新する」というわけだ。斎藤氏は「価値を入れ込んだ料金プランにして、価値を選んでいただく。そういうコンセプトで変えていこうというのが、一番大きな狙い」と話す。
単純なデータ容量と金額のバランスだけではなく、コンテンツなりサービスなりをバンドルしていくという考え方は新しいものではないが、月額料金が高額なDAZNをセットにしてきたところはインパクトが大きい。また、「若い世代の人は、約9割が何らかの形でスポーツを観戦、視聴している」(同)といい、幅広いユーザーに訴求できる可能性もある。ドコモが新規事業として、競技場やアリーナの運営や興行に乗り出していることで相乗効果も狙いやすい。
ただ、DAZNのようなスポーツコンテンツに興味がなかったり、海外に出る頻度が低かったりすると、eximoより複雑で割高な料金プランになってしまう。「バリューは今後、どんどん進化させていく」(執行役員 コンシューマサービスカンパニー統括長 鈴木基久氏)というように、サービスや特典が追加されることも示唆されているが、現時点ではeximo以上に“人を選ぶ”料金体系になっているといえそうだ。
ahamoをahamoのまま残しているのは、そのためだ。ドコモ MAXや後述するドコモ miniは、「店頭でフルサポートしてお選びいただくプラン」(齋藤氏)という位置付け。対するahamoは「ターゲットなり、使い勝手なりが、店頭をご利用いただている方と違う」といい、「極めてシンプルなオンライン専用プラン」(同)としてコンセプトをキープした。ユーザーから好評のahamoがあるため、最上位プランはよりサービスをバンドルする方向にかじを切れたと見ることもできる。
実際、ahamoはもとのデータ容量が30GBと大きく、「大盛りオプション」を付ければ4950円で110GBまで増量可能。ドコモ MAXのような使い放題ではないものの、スマホ単体で利用するのであれば十分なデータ容量だ。“使い放題”や“無制限”とまでは言い切れないが、それに近い感覚で利用できる。ahamo大盛りであれば、家族での契約やdカード、ドコモ光などはなくてもこの料金で済む。その意味で、ドコモ MAXはこれまで以上にahamoとの差別化を図った料金プランといえる。
経済圏にどっぷりつかり、データ使用量も多く、しっかり料金を払ってくれるという点では、ドコモにとっての“優良顧客”だが、ドコモ MAXでは、こうした層への還元をより手厚くしてニーズに応えた格好だ。良くも悪くも、顧客と呼べるユーザーを選別しているようにも見える。こうしたコンセプトは、低容量、低価格を売りにしていたドコモ miniにも踏襲されている。
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