レピーター型のメリットは、衛星用に周波数を分けるのではなく、「既存の周波数帯域をそのまま使用でき、ほぼ全てのスマホが利用可能になる」(同)ところにもあるという。実証実験は楽天モバイルのプラチナバンドである700MHz帯を活用。地上に設置された700MHz帯の基地局がまだまだ少ないこともあり、エリアが重なって干渉が起こるリスクを抑えられる。
ただし、700MHzを使うかどうかは、「まだ決めていない」(楽天モバイル代表取締役共同CEO シャラッド・スリオアストーア氏)。「商用目的で1.7GHz帯と700MHz帯のどちらを使用するのかは、来年(2026年)決めることになる」(同)という。一方で、1.7GHz帯は楽天モバイルの既存の基地局が多く、広い範囲をまとめてカバーしづらい。
発表会では、三木谷氏がプラチナバンドで建物内にも浸透することなどを強調していた点からも、この周波数帯でエリアを稼ぎたい思惑が透けて見えた。サービスインのタイミングも、KDDIのローミングが終了する予定の26年9月とぴったり合致する。ローミングが終了し、抜けてしまったエリアはASTの衛星でプラチナバンドを使ってカバーするというシナリオもありえそうだ。
あとは衛星を打ち上げていき、国内の法整備が済めば、晴れて2026年の第4四半期にサービスインが実現する。まだ1年半近い時間が残されているが、早めにサービス開始を宣言したのは、ユーザーの期待感を醸成するとともに、衛星とスマホのダイレクト通信を商用化したKDDIやStarlinkをけん制する狙いも見え隠れする。
一足先にサービス名称まで決まったRakuten最強衛星サービスだが、そのコストをどう回収していくかはまだ明かされていない。au Starlink Directのように、無料提供されるかどうかも未知数だ。三木谷氏も、「まだ悩んでいるのが正直なところ」だと打ち明ける。
一方で、「サービスも単純なSMSだけができるものから、ある程度帯域を保証するサービスなど、いろいろな形が考えられる。Rakuten最強衛星サービスは第1弾、第2弾、第3弾と始めていくので、そのときにはさらに高速化することもできる」(同)というように、通信速度や利用可能なサービスによって、複数の選択肢を設ける可能性も示唆された。また、「災害時などには、楽天モバイルの契約者以外の方もつながるようにしたらいいと思っている」(同)として、他社のユーザーに開放する構想も明かされている。
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