―― もっと高額で、マイルがたくさんつくようなプランもありうるのでしょうか。
姜氏 ただ、ご契約者の分布を見ると、割と中央によっている傾向があり、25GBがかなり多くなっています。55GBを契約している方も一部います。まさに始めたばかりのサービスなので、今データを見ているところです。どこにニーズがあり、ベネフィットになっているかは精査し、商品設計の試行錯誤をしたいと考えています。
―― IIJmioだと5GBプランが多いという話でしたが、JALモバイルはより中・大容量志向なのでしょうか。
姜氏 JALモバイルはスペックアップ後に始まった取り組みなので、その影響が出た結果になっているところは多少あると思います。IIJmioは当初2GBプランが多かったのですが、前々回のスペックアップでだいぶ中容量に移ってきました。春のスペックアップでも、申し込みされる客層やプランが変わってきています。ただし、IIJmioとの特徴的な違いは今のところ出ていません。
―― 現状、IIJmioからJALモバイルに移ることができませんが、改善の予定はありますか。
姜氏 考えてみたい気持ちは、ないことはないのですが……。ただ、ちょっとややこしいことはあります。行ったり来たりのケースも発生するので、どううまくやるかは知恵を絞るポイントだと思っています。
―― 最後に、JALモバイルとして契約数などの目標はありますか。
坂本氏 数値的な目標はありますが、非公表になっています。ただ、既存のJMB会員が増えていくことにつながればいいなと思っています。契約者数だけでなく、どう他のサービスに関心をお持ちになっていただくかなど、いろいろな指標があると思っています。
―― 既存の利用者だけでなく、新規に会員が増えるということもあるのでしょうか。
坂本氏 当初は既存のお客さまのことを考えていましたが、実は新しいJMB会員の獲得にもつながっています。たまってすぐに使える――入口と出口がはっきりしているので、ここから始めてもすぐに価値を感じていただけるのだと思います。
マイルがたまってお得なJALモバイルだが、料金はIIJmioとまったく同じ。あえて素のIIJmioを契約するメリットが薄くなってしまったようにも見える。ホワイトレーベル的に通信サービスを持たない企業が回線を提供する動きは他社の事例もあるが、業界最大手のIIJmioと、引きの強いJALのマイルという組み合わせのインパクトは大きい。契約数が想定を大きく上回っているのも、納得できる。
一方で、インタビューにもあったように、サービスの早期立ち上げを優先した結果、現状では主な連携がマイルにとどまっている。せっかく、JALのモバイルサービスと位置付けるのであれば、より通信の中身にも踏み込んだJALモバイルならではの特典が欲しい。IIJが以前提供していたトラベル用のSIMカードのようなものがあると、よりJALモバイルらしさを感じられるような気がした。
通信のノウハウがない企業がMVNOに参入すると、通信事業者にない強みを発揮しやすい反面、システム構築などのハードルが高くなり、事業リスクも高まる。その意味では、このようなホワイトレーベル的な仕組みの方が参入はしやすい。他社でも似た事例はあるが、今後、こうした座組が増えていく可能性もありそうだ。
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