OPPOのAI戦略がAppleやサムスンと違う理由 8万円以下のスマホにもフル装備、ミッドハイ競争で優位に立てるか石野純也のMobile Eye(2/3 ページ)

» 2025年06月21日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]

スペックに依存しないAI体験を実現――OPPOがクラウドAIに特化した理由

 それぞれ性能が異なる端末にAIを搭載するため、OPPOはクラウド処理を選んだ。AppleのApple Intelligenceや、サムスン電子のGalaxy AIは、端末上で処理するオンデバイスAIを中心にしつつ、クラウドも併用する形だが、これだとAIでできることが端末によって変わってしまう。大々的に売り出したAIが、エントリーモデルやミッドレンジモデルに搭載されていないことになりがちだ。

OPPO 全ての端末にAIを搭載するというスローガンを掲げ、クラウドAIを活用する

 特に、OPPOの場合、ハイエンドモデルも手掛けている一方で、主力になっているのはReno13 Aのようなミッドレンジモデル。「歴史的に見ても、ミッドレンジモデルを一番大切だと思っているメーカー」(河野氏)になる。オンデバイスAIは「端末のスペックに依存してしまい、ハイエンドモデルでしかAI体験ができないデメリットがある」(営業推進部 プロダクトマネージャー 中川裕也氏)が、OPPOはその影響が大きくなりやすい。

OPPO 中川氏は、端末の性能に依存しないというクラウドのメリットを語った

 一方で、オンデバイスAIには、「通信環境がなくても使えたり、端末内で完結したりする精神的な安心感がある」(中川氏)のも事実だ。前者はクラウドAIの欠点だが、人口カバー率が非常に高く、モバイルネットワークの環境が充実している日本では、あまり問題になりづらい。これに対し、後者は心理的なハードルになるのはもちろん、プライバシー保護にも関わってくる。河野氏も、「プライバシーとデータセキュリティはこれまで以上に重要な課題」と話す。

 そこでOPPOは、Google Cloud上に「Private Computing Cloud」(PCC)を構築。OPPO自身やGoogleがユーザーのアップロードしたデータにアクセスできない環境を作り、その上でAIの処理を実行するような仕組みを整えた。これは、3月にグローバルで発表されていた取り組みで、OPPOは「AI主導の世界でエンドツーエンドのセキュリティと安心をユーザーに提供する」としている。Reno13 AやReno14 5G、OPPO Pad 3に搭載されるAIにも、このPCCCが活用された。

OPPO Google Cloud上に、Private Computing Cloudを構築。プライバシーを守る方針だ

 スペックの異なる複数の端末で同じ機能が利用できるのは、処理を端末のプロセッサに依存していないためだ。とはいえ、クラウドを利用するとなると、OPPO側に継続的なコストがかかる。実際、競合他社ではサムスン電子がGalaxy AIを「2025年末まで無料」としており、今後の有料化に含みを持たせている状況だ。では、OPPOについてはどうなるのか。

 この質問について河野氏は、「有料にできるならしたいのが本音だが、AIを皆さんに使っていただきたいというのが会社としてのスローガン。当面は課金のことは一切考えず、まずは触れていただきたい」と話す。クラウドへのアクセスはあるが、現時点では、端末内で完結する機能と同じように位置付けていることが分かる。あくまでも、AIの普及を優先しているというわけだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年07月26日 更新
  1. 「0.2秒で冷却」をうたうペルチェ素子搭載の腰掛けファン Amazonで53%オフ (2026年07月24日)
  2. ドコモが「iPhone 17」シリーズや「iPhone Air」を値上げ 一部機種は残価も引き上げ、実質負担額の影響は? (2026年07月24日)
  3. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  4. 330円で手に入る「足元灯」「非常灯」 充電式になって利便性向上 (2026年07月25日)
  5. 従来の健康保険証は7月31日で利用不可に 8月1日以降は「マイナ保険証」の利用を (2026年07月24日)
  6. サムスンが「Galaxy Z Fold8」で横長折りたたみを投入する理由 AIの進化にもマッチ、“iPhone包囲網”も万全か (2026年07月25日)
  7. 界面活性剤とマイクロファイバーでタッチパネルをきれいに! ダイソーで220円の「スクリーンクリーナー」を試す (2026年07月25日)
  8. なぜ「LINE VOOM」は嫌われたのか 保護者を悩ませた“子供たちの抜け道” (2026年07月24日)
  9. モトローラから新しいミドルレンジスマホ「moto g37」シリーズ登場 ソフトバンク、楽天モバイル、ドコモも取り扱い (2026年07月24日)
  10. ドコモ販売ランキング:新発売の「Xperia 1 VIII」が上位にランクイン【2026年6月】 (2026年07月25日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー