NTTドコモが、前田義晃社長を模したAIアバター「アバター前田社長」の活用事例を紹介した。公開画像は本物の前田氏にそっくりだ。社員が話しかけると、まるで目の前に本物の前田氏がいるかのように、アバターが相談に応じる──。
公式X(旧Twitter)のアカウントでは「実はドコモでは、前田氏のアバターが社員の相談相手になってくれます。AI社長とキャリア面談できます。顧客を想定したロールプレイへの活用に向けてAIを開発する中、社員のキャリア形成サポートにも活用を広げた取組みです」と発信し、画像付きでポストしている。
ドコモの公式サイトによれば、アバター前田社長は人間らしい自然な応答を可能にする対話生成技術に加え、前田氏の姿をもとにしたリアルなアバターとNTT独自のクロスリンガル音声合成技術を組み合わせることで、まるで本人と直接会話しているかのような体験を可能にする。
事前準備は不要で、アバターからの問いかけに答えていくうちに、自身の強みや目標が浮かび上がる設計になっているという。答えに詰まった場合は「思い浮かびません」と伝えたり、逆にアドバイスを求めたりしても問題なく、本音を引き出しやすい工夫が凝らされている。
この取り組みはドコモ本社にとどまらず、全国の地域支社にも展開され、今後はドコモグループ全体への拡大も予定されている。
開発を担ったのは営業部門であるカスタマーサクセス部システムソリューション企画担当だ。当初は営業スタッフが顧客を想定したロールプレイに使えるAIとして構想していたそうだ。
しかし、分析を進めるうちに、社員のキャリア形成を支援する用途にも適していることが分かり、人事部と連携することでアバター前田社長が誕生したという。部署の垣根を越えた横断的な連携が、新たな価値の創出につながった事例と位置づけられている。
ドコモのアバター前田社長は、営業部門のカスタマーサクセス部が開発した。当初は営業スタッフのロールプレイ用AIとして構想されたが、分析を進めるうちに社員のキャリア形成にも役立つと判明し、人事部と連携することで誕生したといういわゆるAI社長の導入はドコモに限らず広がりを見せている。DeNAはAIを経営判断や業務推進に全面活用する「AIオールイン」戦略の一環としてAI社長を導入し、三井住友フィナンシャルグループも中島達CEOを模した「AI-CEO」を三井住友銀行に展開している。AI社長は単なる話題性にとどまらず、経営や人材育成の在り方を変える新しい動きとして注目されつつある。
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