Y!mobileの新料金プランは「捉え方次第で値下げ」「楽天モバイルとUQ mobileを強く意識」 キーパーソンを直撃(2/3 ページ)

» 2025年09月04日 21時13分 公開
[石野純也ITmedia]

小容量帯をあえて残した理由 短期解約にはつながらない?

―― Y!mobileは好調とのことでしたが、他社が小容量プランをなくしたり、値上げしたりする中で、シンプル3にはSプランが残っています。競争環境や競争力を考えて維持したということでしょうか。

寺尾氏 他社のことは当然分析もしていますし、考えてもいます。全体としてコストが上がっているのは、もう否定できない事実です。われわれもそうですし、代理店のベアも上げていかなければならない。いろいろなガイドラインも出ていて、やらなければならないことは増えています。こういうコストをしっかり転嫁しながらも、何とか安い料金を作らなきゃいけないよね、というのが今の結果です。

 段階制にしてもいいのですが、今のように分けた方がいいのかはすごく悩みました。ただ、しっかり(容量ごとに)分けておいた方が、お客さまも自分の予算をコントロールできますし、われわれも「YouTubeを見るならMプランですよね」というような営業ができます。分けておいた方が最終的な満足度も得られますし、われわれの収益機会も得られるということで、今回はこういう形にしています。

―― プランを分けていることもそうですが、単純に金額だけで比較しても5GBとしては安いですよね。

寺尾氏 そうですね。ここはいろいろなせめぎ合いの中で悩んだ結果です。われわれのスタンスとして、基本的には戦いに出ています。

―― 小容量プランは、他社だと解約率がものすごく高いという話がありました。Y!mobileは、そこまでではなかったのでしょうか。

寺尾氏 彼ら(ドコモやKDDI)も正確に具体的な数値を言っているわけではなかったので分かりませんが、少しずつ上がっているのが実態です。でも、そんなにむちゃくちゃな数字はないですね。ただ、いろいろな仕組みで、できるだけ長く使っているお客さまにベネフィットをお返ししなければいけないですが、短期(解約)の方はやはりそれなりのベネフィットにしなければいけない。そのメリハリはつけなきゃいけないと反省するぐらいには、(解約が)出ているので毎年反省しています。

Y!mobile 3本立ての料金体系は維持。段階制も導入せず、使うデータ量で選ぶ方式はそのままになった

楽天モバイルとUQ mobileを意識して5GBと30GBを設計

―― 5GBの次が30GBで、間が広いままです。これはなぜでしょうか。

寺尾氏 全体的には競争の中で考えています。楽天もUQ mobileも見て、勝てるところで戦っています。容量の低いところは5GBで1078円(でUQ mobileのトクトクプラン2より安い)。2178円のところ(30GB)は、もう1社の階段(楽天モバイルの3GBから20GB以下)とのバランスを見て入れています。できるだけシンプルにしたかったのですが、競争軸を踏まえるとこうなってしまう。そういう意味だと、なかなか自由自在にとはいきません。

―― ドコモの名前が出てきていませんが。

寺尾氏 ちゃんと見ていますよ(笑)。ただ、(ドコモに)当てにいくよりも、UQ mobileや楽天モバイルの方が安かったので。楽天モバイルはすごく意識していますし、料金を改定してくれないかなと思っています。みんな苦しいでしょ(笑)。

―― 繰り越しは残っていますが、これは重要だったのでしょうか。

寺尾氏 そうなんです。お客さまの感覚なんでしょうね。余計なものを買わないという感覚が重要で、そこは最初に決めました。

―― ただ、収益的にはマイナスですよね。

寺尾氏 繰り越した分は、会計上、後ろに(収益が)飛んでしまう。会計上は重たい仕組みですが、それよりもお客さま本位で考えました。

―― 今、S/M/Lはどのぐらいの比率なのでしょうか。

寺尾氏 ほぼほぼSかMという状況で、SとMは半々ぐらいです。

Y!mobileからソフトバンクへ移行するきっかけは機種変更

―― 獲得が好調な一方で、ソフトバンクへの移行が増えています。これは変わっていないのでしょうか。

寺尾氏 アップセルとダウンセルの割合は、ソフトバンクへ移行する方の方が多くなっています。(ソフトバンクに移るのは)端末を買い替えるときが多いですね。Y!mobileでN-1(1年前のモデル)にするか、最新の端末にするかを考え、ソフトバンクにする方はいます。合わせて、われわれもブランド変更の特典も提供しています。その後、一定量はY!mobileに戻ってきますが、そのまま大容量やペイトクの魅力で残る方も多い。最初のころは、「すぐに戻ってくるんじゃないの」と言っていましたが。その意味だと、メインのきっかけは機種変更です。

Y!mobile 端末を買い替える際に、ソフトバンクに移るユーザーが多いという。一方で、Y!mobileにもPixel 9aなどの廉価モデルは導入。1年前のハイエンドモデルを販売するといった手も打っている

―― ソフトバンクでは「新トクするサポート+」が始まりましたが、Y!mobileではいかがでしょうか。

寺尾氏 新トクするサポート自体はY!mobileにもありますが、更新時の費用(特典利用料)については開発が追い付いていません。そこをどうするかは、悩んでいます。ただ、われわれとしてはY!mobileにいてほしいというより、ソフトバンクに行ってほしい。ガイドラインもあるので、その辺の工夫は必要になってきます。

年会費が高額でもゴールドカード比率は上がると思う

―― Y!mobileで節約しようとしている人が、ゴールドカードを持つのでしょうか。

寺尾氏 算数で合理的に考えれば、持ちうると思っています。

―― そこを計算するよりも、年会費(1万1000円)が高いという気持ちが優先されてしまわないでしょうか。

寺尾氏 どっちになるでしょう。ただ、今まではゴールドカードをどう推奨するかが分かりにくかった。内部で見ると、今でもゴールドカードは年会費よりも還元額の方が多いぐらいで、合理的に考えられればいいのですが、それがなかなか伝わっていませんでした。ですから、シンプル3では直接料金割引として見せるようにしました。そいう意味だと、ゴールドカード比率は上がると思っています。

 一般的な方は、ほとんどが複数のカードを持っていて、どれをメインにしてもらうかの勝負になっています。ゴールドカードは、年会費を払っているだけに、メインカードに近づきやすい。結果として、PayPayカードのGMV(流通取引総額)向上に直結しますし、そういう構造的なことも含めて料金を考えています。

Y!mobile PayPayカードゴールドで料金を支払った際の割引を増額。5GBのシンプル3 Sは、858円まで料金が下がる

―― その建てつけに勝算があると判断した理由を教えてください。

寺尾氏 例えばPayPayカードがそうです。PayPayカードももともと、どうやってオススメしていくかを考えていました。一昨年(2023年)、PayPayカード割を入れたことで、われわれのスタッフが必ずご提案をするようになりました。そうすると、PayPayカードでの支払い率がグッと上がります。われわれの中で、どう提案するかの流れに乗せていったからです。必ず提案するフローに(カードが)入るのが大きいですね。これまでずっとやってきましたが、お店を持っていて、案内する強さです。

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