PayPayが9月16日、PayPayアプリを海外で利用可能にする「海外支払いモード」を2025年9月下旬以降に開始することを発表した。まずは韓国から対応し、韓国の「Alipay+」加盟店でPayPay決済ができる他、個人間送金や残高チャージも利用できるようになる。
PayPayは16日に説明会を開催し、PayPay 執行役員 金融戦略本部長の柳瀬将良氏が、PayPayの海外展開についての狙いを説明した。
これまで、PayPayは訪日外国人(インバウンド)向けの決済サービスを強化してきた。決済プラットフォームのAlipay+とHIVEXを合わせ、14の国/地域と26種類の決済サービスを日本で採用しており、2024年の入国者ベースで訪日外国人の78%をカバー。訪日外国人は自国の決済サービスを使ってPayPay加盟店で決済できる。
PayPayのインバウンド向け決済のGMV(流通総取引額)は2024年に過去最高に達し、2019年比で3倍に伸びているという。
インバウンドの取り組みが成功した理由として、地道なマーケティング活動やUIの工夫が挙げられる。各国のアプリトップ画面に日本でPayPayを使えることを紹介し、外国人が日本に到着したらアプリ画面を日本モードに変更して使いやすさにもこだわった。加盟店とも連携し、ポイント還元アップなど消費を訴求する取り組みも行ってきた。
外国人向けには、支払い時に「PayPayでお願いします」という日本語の音声を出せるようにし、決済完了画面は現地言語で表示される。日本の店舗側には「ペイペイ!」といういつもの決済音が鳴り、店舗向けに日本語での決済完了画面も表示できる。
こうしたインバウンドでの成功事例を受け、今度は日本から海外に渡航するアウトバウンド向けにも決済サービスを展開する。
アウトバウンドでも決済プラットフォームのAlipay+を利用する。韓国ではこのAlipay+に加え、韓国のQRコード決済「Zero Pay」のマークが表示されている店舗で、PayPayでの決済ができる。店舗はコンビニ、デパート、タクシーから飲食店や屋台まで、200万箇所以上をカバーする。日本と同じく、店員がバーコードをスキャンする方法と、ユーザーがバーコードをスキャンする方法で決済ができる。
海外でも赤い画面の「PayPay残高」と青い画面の「PayPayクレジット」から決済でき、PayPayポイントが加算される。
決済画面には為替レートが表示され、使える金額について、現地通貨と日本円を切り替えて表示できる。韓国で支払う際は、PayPayアプリ上で「Alipay+で支払います」という内容をハングルで表示して店員に見せることもできる。
決済をすると、日本と同じく「ペイペイ!」という決済音が鳴り、日本円に換算された金額も表示される。PayPay担当者によると、韓国では決済音が鳴るサービスは珍しく、ユーザーのスマホへの通知で決済されたことを確認するそうだ。こうした挙動の違いは、店舗側にレクチャーする必要があるとのこと。
ユーザー側の決済完了画面は日本語で表示され、店舗側にはハングルでの決済完了画面を表示することもできる。
日本人が海外でも安心して決済できるよう、セキュリティ対策も万全を期している。その1つが本人確認だ。海外支払いモードを利用するには、eKYCによる本人確認が必要になるので、渡航前に済ませておきたい。
ユーザーのデータはセキュリティが担保された環境にあるサーバで厳重に管理され、現地の店舗にはユーザーのデータを特定する情報は提供しない。日本での決済と同様、不正利用を防止するために24時間365日体制で取引をモニタリングしている。
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