フォロワーを削除する行為は、「自分の投稿を見る人を限定したい」という思いから来ています。これはここ数年、SNSでよく見られる傾向です。
例えばInstagramでは、メインアカウントとサブアカウントを作成し、サブアカウントは非公開にして親しい友人に限定するなどの使い分けをしています。
さらに、ストーリーズへの投稿は「親しい友達」リストに公開して相手を絞り込みます。サブアカウントの「親しい友達」に入っているということは、親友に選ばれている証拠にもなるわけです。
過去の投稿も、自分の今のキャラクターに合わせて整理します。10代女性のプロフィール画面には、投稿が数個しかなく、全体的に色味が合わせられていることがほとんどです。誰に見られても恥ずかしくない投稿、もしくは絶対に見てほしい投稿に絞っているのです。
Z世代に流行中のSNS「BeReal.」は、近しい友人としかつながりません。BeRealは自分が投稿しなければ他の人の投稿が見られないため、自分の投稿を見せていい相手に限定しておく必要があるのです。
このように「フォロワーを削除」する行為を、「イマドキの若者は総じて人間関係リセット症候群の傾向があるのでは」と捉える人もいるでしょう。人間関係リセット症候群とは、ある時突然、全ての人間関係を切り捨ててしまう行動を指します。
でも私は、「フォロワーを削除」と人間関係リセット症候群は異なる心理だと捉えています。クロスマーケティングが2025年1月に発表した「人間関係に関する調査(2025年)」でも、「人間関係をリセットした」経験を持つ人は年代で大きな差はありません。しかし、リセットの方法としてLINEやSNSを挙げている人を見ると、20代や30代の割合が高まります。
これは、今の20代や30代がSNSとともに年齢を重ねてきていることによるものだと思っています。
かつては、学校のクラス替えや卒業などをきっかけに、自然に人間関係が疎遠になりました。ところが今は、高校生になっても社会人になっても、小学生の時の友人とSNSでつながっている時代を迎えています。
それはSNSらしいメリットとも言えますが、全く顔を合わせておらず、今後も会うことがなさそうな相手に自分の生活を見せ続けることに抵抗を感じるのも無理はありません。
つまり、SNSにおいて自分の見せ方に重心を置いている若者が、不要なつながりを整理する行為が「ブロ削」や「ブロ解」であるというわけです。
LINEは少し厄介です。単一のアカウントを使い続けることが多いため、今の人間関係にそぐわないつながりが大量に残されています。LINEは相手をブロックしても、相手のLINEから自分を消すことができません。
相手の「友だち」リストには自分が残り、自分のプロフィール画像や背景を見られ続けてしまいます。こうした仕様に不満を持つユーザーも多いようなので、何かの折に作り直したいと考える若者もいるでしょう。
ところで、LINEが若者に使われ始めた頃、LINEでは「ブロック大会」や「友達整理」が流行しました。
「ブロック大会」や「友達整理」とは、LINEのタイムラインで「今からブロック大会するよ。ブロックされたくない人はいいねしてね」などと呼びかけ、いいねを集めて満足感を得るものです。今でも、Facebookなどで同様のことをしている人を見かけます。合理的な理由がなく、ただつながりを確認して安心したいという人は、世代を超えて存在しているといえるかもしれません。
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