Appleが2015年から提供している「Apple Music」が、2025年でサービス開始から10年がたった。その2025年の9月に配信されたiOS 26のアップデートで、Apple Musicがさらに使いやすく進化した。ここでは、iOS 26で追加されたApple Musicの新機能を紹介しよう。
Appleは、Apple Musicでは「ライブラリ」が最も重要な機能だと位置付け、好きな楽曲へ簡単にアクセスできるよう、「ピン」機能を用意した。
ピンは楽曲、アルバム、プレイリスト、アーティスト単位で付けることができ、ピンを付けた楽曲やプレイリストはライブラリのトップページに表示される。ピン留めができる楽曲、アルバム、プレイリスト、アーティストは最大6件まで。
楽曲にピンを付けるときは、曲名右側のサブメニューから「曲をピン留め」を、アルバムごとピンを付けたい場合はアルバム画面右上のサブメニューから「アルバムをピン留め」を選べばよい。まだリリースされていない楽曲やアルバムもピン留めができるので、リリース予定の曲やアルバムをいち早く聴きたいときはピン留めしておくといい。
プレイリストもアルバムと同様の手順でピン留めができる。また、アルバムやプレイリストは、ライブラリ一覧からカバー画像をロングタップして表示されるサブメニューからもピン留めができる。
アーティストのピン留めは、アーティスト一覧画面でサムネイルをロングタップして表示されるサブメニューや、アーティストのトップ画面のサブメニューから行える。
他の音楽配信サービスからApple Musicへスムーズに移行できるよう、他サービスのライブラリやプレイリストをApple Musicに取り込めるようになった。「設定」→「アプリ」→「ミュージック」→「他のサービスから音楽を転送する」を選ぶ。現時点では「Amazon Music」「Deezer」「Spotify」「YouTube Music」のプレイリストを転送できる。
新機能として「AutoMix」も追加された。この機能では、楽曲を解析することで最適なトランジション(曲間のつなぎ)が自動で選択され、DJのように滑らかに次の楽曲へ移動する。曲の先頭と最後から無音部分を取り除いたり、単純なクロスフェードを実行したりする他、必要に応じてさらに複雑なトランジションも適用されるという。
このAutoMixは初期状態からオンになっているので、ユーザー側で設定をする必要はない。AutoMixが始まると、再生画面に「ミキシング」と表示され、次の楽曲に合わせてテンポが変わり、ジャケット写真がフェードアウトしながら次の楽曲に移る。オリジナルのミックスが最適だと判断された場合や、2つの楽曲がうまくミックスしないと判断された場合、AutoMixは適用されない。
なお、「設定」→「アプリ」→「ミュージック」→「曲のトランジション」からAutoMixをオフにすることはできる。
もう1つの大きな新機能が、歌詞の翻訳だ。再生中楽曲の歌詞表示はおなじみだが、iOS 26では外国語の歌詞を翻訳できるようになった。日本語が対応しているのは英語から日本語、韓国語から日本語の2パターンだ。
Apple Musicユーザーのうち6割が、何らかのタイミングで歌詞を見ており、歌詞を見ながら他言語の曲を楽しんでいるユーザーも増えているという。他言語で気に入った楽曲があったとしても、歌詞の意味が分からないと、曲に共感したり、より深く世界観に入ったりすることは難しい。そこで、より容易に楽曲とリスナーをつなげるべく、翻訳機能を導入した。
面白いのが、翻訳された歌詞だけでなく、発音方法も表示できること。英語の歌詞は意味が直感的に分かりづらくても発音はできる人が多いだろうが、韓国語はハングルが読めないと発音できない。発音方法は、特にK-POPで重宝する機能だといえる。
さて、歌詞の翻訳と聞くと、AIを使って翻訳しているのではと思うかもしれないが、歌詞の翻訳は全て人の手を介して行っている。これはAppleが翻訳の品質にこだわっているため。とはいってもAIを全く活用していないわけではない。最初にAI翻訳をかけ、その後、ネイティブスピーカーの担当者が翻訳をかけていく。その際、スラングも勘案しながら、アーティストが意図した意味になっているかどうかを確認する。
翻訳は手動で行っており、人的リソースには限りがある。そのため、英語と韓国語の楽曲全てが翻訳されているわけではない。翻訳の対象となる楽曲は、過去に再生時間の多い楽曲を選んでいる。新しい楽曲は翻訳されやすい一方で、過去の楽曲についても、後からヒットした楽曲は翻訳をかけるようにしているという。
Apple Musicのラジオ番組「Tokyo Highway Radio」でナビゲーターを務めるみのさんは、Apple Musicの翻訳内容について「とてもニュートラル。意訳をしすぎず、バックグラウンドの情報を過剰に足さない」との感想を話す。また、CDが全盛の時代は、洋楽CDのライナーノーツを読んで歌詞の意味を理解したが、Apple Musicのようなサブスクが普及した今、若年層にそうした体験が減りつつあることもみの氏は指摘。「洋楽アーティストの歌詞をしっかり読み解き、探っていくのは、音楽体験を豊かにするもの」と翻訳機能の意義を話した。
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