こうした仕組みの背景には、NHKが「受信料を確実に徴収する」目的を持っていることが見えてくる。NHK ONEを利用する人が受信契約情報を連携することで、NHKは個々の契約状況を把握できるようになる。NHKが「閉じられないメッセージ」という強い手段に踏み切るのは、国民に受信契約を促し、未契約者を減らす狙いがあるとみられる。
NHKはこの件について、「視聴妨害を目的としたものではなく、手続きのお願いを確実に届けるための設計」と説明している。しかし、実際にはメッセージを閉じられないという仕様が、利用者に心理的な圧力を与える可能性がある。特に、無料で視聴できる民放系の動画配信サービスに慣れた利用者にとっては、公共放送であるNHKの「強制的」な設計に違和感を覚える人も少なくないだろう。
では、なぜNHKは民放とは異なり、受信料による運営を続けているのか。NHKはこの点について次のように説明している。
「日本の放送は、公共放送であるNHKと民間放送の二元体制のもとで、良い意味での競争を行っています。NHKの収入の約96%(令和7年度予算)は、テレビなどの受信設備を設置した方に公平にご負担いただく受信料です。一方、民放は企業などのスポンサーが支払う広告料を主な財源としています。NHKは、特定の勢力や団体の意向に左右されない公正で質の高い番組を提供するために、受信料で運営する仕組みを維持しています」
NHKによれば、教育や福祉、災害報道など、商業的利益に左右されずに社会的使命を果たす番組を届けるには、広告依存のビジネスモデルでは限界があるという。受信料によって独立性を保ち、社会に必要な情報を公平に伝えることが公共放送としての使命だと位置付けている。
「いつでもどこでもあなたのそばに」がコンセプトとなっているNHK ONEだが、登録を促すメッセージが閉じられない仕様になれば、利用者は“強制的に契約へ誘導される”印象を受ける。
メッセージの有無は使い勝手を大きく変えるだろう。それゆえに利用者がNHKの番組を視聴したり、ニュース記事を読んだりするかどうかの判断にもつながりそうだ。NHK今後の運用方針次第では、公共放送に対する信頼そのものが揺らぎかねない。
「NHK受信料」のせいで、NHK ONEは解約しづらい? ”簡単にやめられない”仕組み解説
若者よテレビを見ないか? 新ネット配信「NHK ONE」を提供する本当の狙い、稲葉会長が語る
「NHK ONE どーもくん」誕生、新ネット配信の顔に 制作に「生成AI」を使用したのか、NHKの回答は?
10月1日サービス開始の「NHK ONE」でトラブル 認証コードを記載したメールが「Gmail」「ドコモメール」「auメール」などに届かず
「NHK ONE」の認証メールが届かない不具合が解消 問題なく登録できるようにCopyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.