銀行連携を強化したauの新プラン「マネ活2」を解説 強すぎる“ゴールドカード推し”は不安材料に石野純也のMobile Eye(3/3 ページ)

» 2025年11月22日 06時00分 公開
[石野純也ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

強い銀行を生かした料金面での差別化も、強すぎるゴールド推しは不安材料に

 通信サービスにとっても、auじぶん銀行を生かせるのは他キャリアとの差別化につながりそうだ。ドコモは、10月に住信SBIネット銀行を傘下に収めたばかり。ソフトバンクも、ユーザー向けにPayPay銀行の住宅ローン優遇を提供し始めたが、預金残高の規模感などではauじぶん銀行の方が大きい。また、グループに楽天銀行を擁する楽天モバイルも含め、金融連携の本格的な料金プランは提供できていないのが現状だ。

 ドコモのポイ活プランがdカードやd払い、ソフトバンクのペイトクがPayPayとの連携を打ち出しているように、金融・決済連携の料金プランは各社が得意とする分野を打ち出す傾向が強い。ドコモであれば契約数や上位カードの比率が高いクレジットカード、ソフトバンクであればコード決済として最大の規模を誇るPayPayといった具合だ。クレジットカードではドコモの、コード決済ではソフトバンクの後塵を拝している一方で、KDDIは強みの銀行を連携させてきたといえる。

auじぶん銀行 auじぶん銀行は2008年に設立され、auとの連携や低金利の住宅ローンなどで急成長している。ここをフックにした料金プランは、銀行を傘下に収めたばかりのドコモや、連携が十分取れていないソフトバンクとの差別化にもなる

 キャリア各社が金融・決済連携の料金プランに注力している背景には、派生事業を伸ばせるだけでなく、通信側の解約率を下げられる効果もあるからだ。特にKDDIやソフトバンクは、新規獲得を重視する方針からの転換を図っている。

 松田氏は、決算説明会で「他社の過熱気味な販促コストを使う形の競争に真っ向から対抗している意識はない」としつつ、「どちらかというと、商品力の競争ということで価値を高めている」と語る。「ライフタイムバリューを意識した構造改革に取り組んでいる」というが、マネ活2のような料金プランもその一環だ。他社が、こうした形の連動料金をさらに強化していく可能性もある。

auバリューリンク マネ活2 KDDIをはじめ、キャリア各社はライフタイムバリューを意識した戦略に転換し始めている。マネ活2のような料金プランは、それを高める一助になる

 銀行連携の強化という点が新しいマネ活2だが、条件がauじぶん銀行だけではない点は少々気になった。特典の条件を子細に見ていくと、ゴールドカードの獲得を増やしたいKDDIの思惑も見え隠れする。1つ目の預金残高に応じた特典は、au PAY ゴールドカードの保有者であることが条件。3つ目の決済連動特典も、ノーマルカードでの決済や、ゴールドカードがない状態でのau PAYは還元率が1%まで下がる。

 ゴールドカードがなければ、最大550円のキャッシュバックが受けられないだけでなく、決済特典の上限に達するために必要な支払いも25万円に上がる。提示されている実質負担額で使うには、ゴールドカードの保有が半ば必須になるというわけだ。au PAY ゴールドカードの会員数は、9月末時点で172万会員。dカードGOLDが1000万契約を超え、PLATINUMも100万会員を突破したドコモと比べると、その規模はまだまだ小さい。プラン変更しただけで恩恵を受け切れるユーザーも少なくなる。

auバリューリンク マネ活2 1つ目の特典である銀行あずけて特典はゴールカードが条件。3つ目の特典の還元率も、ノーマルカードやau PAYだけだと還元率が大きく下がり、上限達成が難しくなる

 マネ活2の特典を受ける条件になっているのは、au PAY ゴールドカードの伸びを加速させる側面がある一で、ゴールドカードを持たなければ安くならないとなると、マネ活2自体の選択をためらうユーザーが出てくることも考えられる。他社が料金プランとゴールド以上のカードのひも付けをここまで強力にしていない中、銀行とゴールドカードの二兎を追う戦術が吉と出るか凶と出るかは未知数といえそうだ。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年08月11日 更新
  1. 楽天の三木谷氏がStarlinkに言及――「正直に言って……」 AST SpaceMobileは過疎地域や海上で効果発揮か (2026年08月10日)
  2. LINEの「ミュートメッセージ」有料化へ 相手のスマホを鳴らさずに送れる便利機能 (2026年08月10日)
  3. KDDIからの独り立ちを目指す楽天モバイル、ローミング交渉の現在地――両社の考えを整理 (2026年08月10日)
  4. 【ワークマン】1900円の「アーバンマルチストレージショルダー」 大きく開く小分けポケット搭載 (2026年08月10日)
  5. ハイエンドスマホ「arrows Alpha」、IIJで半額以下の3万円台に 11月4日21時59分まで【スマホお得情報】 (2026年08月10日)
  6. ソニーに聞く「Xperia 1 VIII」の裏側 デザイン刷新や20万円超えの理由、物議を醸したAIカメラ新機能の真相 (2026年08月10日)
  7. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
  8. NHK受信料パトカー・消防車から徴収問題、猛反発を受け「検討を進めていく」と会長 (2026年08月07日)
  9. 楽天モバイルの「営業損失」と「解約率」は改善を継続――楽天グループが2026年度第2四半期決算を発表 (2026年08月10日)
  10. 楽天モバイルのローミングは「予定通り9月末に終了」 ただし「ルーラル限定で継続」の可能性も (2026年08月07日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー