KDDIが12月1日から提供する「auバリューリンク マネ活2」は、単なる料金プランの改定ではない。11月17日の発表会で松田浩路社長が繰り返し強調したのは、変化の激しい通信・金融環境に合わせて“価値づくりを連続的に行う”という姿勢だった。
6月3日から提供し、既に100万件を突破した「auバリューリンクプラン」を土台に、金融連携の部分だけをアップデートするという今回の改定は、過去のプラン改定とは異なるニュアンスを帯びている。ユーザーが実際にどのようなメリットを受けられるのか、そしてKDDIは何を競争優位性として打ち出したいのか。この記事では、それらを中心に解説し、発表会を通して感じた“価値づくり”の本気度を読み解く。
KDDIが6月に導入したauバリューリンクプランは、データ無制限、au Starlink、ファーストレーン、海外放題など、複数の“価値”を束ねたプランとして登場した。6月以降、ここを中心にKDDIの料金体系は再構成されている。
今回の改定は、このベース部分を変えず、「金融サービスを活用したいユーザー向けの外側」にある“マネ活”だけを刷新した点が大きい。松田氏は「バリューリンクプランの構造自体は変わっていない」と繰り返し説明した上で、マネ活を1年周期でアップデートする理由をこう語った。「価値づくりを連続的にやっていかなければならない。金融環境の変化も早く、お客さまのニーズに応じて対応する必要がある」
通信部分は普遍的価値として固定しつつ、マネ活のような生活金融領域はユーザーの使い方に合わせて柔軟に変える2層構造こそが、KDDIの新たな戦略というわけだ。
松田氏が進化と表現したのは、auじぶん銀行を軸にした3つの新特典だ。投資が伸びても依然として預貯金比率が高い日本の金融事情、キャッシュレス決済の増加など、変化した市場環境を踏まえ、銀行と通信の最適な組み合わせを再設計したという。
1つ目の特典では、au PAY ゴールドカード会員を対象に、auじぶん銀行の円普通預金残高に応じて、毎月110円〜550円を普通預金口座にキャッシュバックする。キャッシュバック金額は円普通預金残高が10万円〜30万円未満だと110円、30万円〜50万円未満だと330円、50万円以上だと550円となる。
加えて、ATM利用料と振込手数料が何度でも無料になるキャンペーンを開始する点も大きい。通信会社が銀行手数料を実質ゼロにする取り組みは業界初となる。
特典の1つとして、au PAY ゴールドカード会員は、auじぶん銀行の円普通預金残高に応じて毎月110〜550円のキャッシュバックを受けられる。残高が10万〜30万円未満で110円、30万〜50万円未満で330円、50万円以上で550円となる特典2つ目は、従来の「ポイント還元」は大幅に見直され、au PAYカードで通信料を払うだけで最大1500円がauじぶん銀行口座に直接振り込まれる仕組みに変わった。これまでのポイントでの返礼が、今回から現金そのものになったわけだ。
松田氏はこの理由を「じぶん銀行への意識を高めてほしかった」と説明する。Pontaポイントの利便性を評価しつつも、銀行口座とひも付いた“現金還元”の喜びを感じてほしいという意図が強い。
特典の2つ目は、従来の「ポイント還元」を大きく見直し、au PAY カードで通信料を支払うだけで最大1500円がauじぶん銀行に直接振り込まれる仕組みに変わった点だ。返礼がポイントではなく現金となり、au PAY カードと引き落とし口座にauじぶん銀行を設定すると1650円、どちらか一方の設定でも1100円がキャッシュバックされる特典3つ目では、au PAY ゴールドカード保有者がau PAY/au PAY カードを利用して買い物をすると、ポイント還元率が最大5%(上限2500ポイント/月)まで上乗せされる。さらに、クレカ積立特典として、三菱UFJ eスマート証券での積立購入にau PAY ゴールドカードとNISA口座を組み合わせた場合、特典適用後の還元率が2%となる優遇も実施する。
松田氏によると、従来のマネ活プラスは、カード払いとコード決済で条件が異なり「分かりにくい」との指摘もあった。マネ活2ではその反省を踏まえ、両方の利用額が合算され、毎月最大2500Pontaポイントがもらえるようにした。用途制限もなく、有効期限の短い特別ポイントでもない。
特典の3つ目は、au PAY ゴールドカード保有者がau PAY/au PAY カードで買い物をすると、ポイント還元率が最大5%(月上限2500ポイント)まで上乗せされる点だ。さらに、三菱UFJ eスマート証券でのクレカ積立では、au PAY ゴールドカードとNISA口座を組み合わせることで、特典適用後の還元率が2%になる優遇も受けられるこれら3つの特典を全て適用すると、毎月合計最大4700円、年間5万6400円相当お得になる計算だ。通信プランとしては異例のリターン設計であり、銀行・決済・通信をまとめて使うユーザーほど強く恩恵を受ける構造になっている。
今回の発表で最も象徴的な変化といえるのは、特典の軸が「ポイント」から「現金」にシフトした点だ。過去のKDDIはPontaポイントをau経済圏の“循環燃料”として重視してきたが、今回はキャッシュバックを前面に出してきた。
これは「銀行という資産管理の中枢を、ユーザーの生活の中に根付かせたい」という狙いがある。松田氏は次のように説明した。「銀行に口座を作っていただき、そこにキャッシュバックされる価値や喜びを感じていただきたい」
銀行口座に“増えていく実感”こそが、ユーザー体験の中核に据えられたということだ。ポイントという抽象的な資産ではなく、リアルな現金が増える仕組みは、金融サービスとの連携を強めたいKDDIにとって合理的な選択といえる。
3つの特典のうち2つがPontaポイントではなくキャッシュバック方式になった背景には、「銀行という資産管理の中枢を生活に根付かせたい」という狙いがある。松田氏は、「ユーザーに口座を開設してもらい、そこへ現金が戻る価値や喜びを実感してほしい」と説明しているKDDIが毎年のようにマネ活の料金プランを変更するのは異例の多さといえる。定期的にアップデートされ、2026年以降、毎年同じタイミングで発表があるかどうかは定かではないが、松田氏は明確に否定しつつ、次のように述べている。「環境の変化が激しい中で、価値も時期に応じて変わっていく。だからこそ連続的にアップデートする」と話す。
ベースプランは固定しつつ、生活金融に関わる部分だけをユーザー行動に合わせて変える――これが現在のKDDIの設計思想だ。前回のマネ活プラスが「分かりにくかった」(松田氏)という反省を踏まえ、よりシンプルに磨き直された点も、ユーザー視点の補強につながっている。
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