「eSIM」は人類にとって早すぎる? 携帯電話ショップ店員に聞いたら意外な答えが:元ベテラン店員が教える「そこんとこ」(3/3 ページ)

» 2025年11月28日 17時00分 公開
[迎悟,ITmedia]
前のページへ 1|2|3       

eSIMは思ったより混乱を起こしていないように見えるが……

 筆者は、携帯電話についてそこそこ詳しい方だと自認している。しかし、eSIMに関するちょっとしたトラブルに巻き込まれることはちょくちょくある。

 まず、eSIMに関する手続きは事業者によってやり方(仕組み)が違うことに伴うトラブルだ。

 例えばドコモの場合、他事業者とは異なり、eSIMの申込時に端末に備わるeSIMチップの「EID」(固有ID)を提出しないといけない。EIDは32桁もあるため、1〜2文字の入れ間違いが原因で、端末にeSIMプロファイルを書き込めないというトラブルが起こりやすい。

 「こんな面倒なことをしているのはなぜ?」と疑問に思うかもしれないが、これはeSIMプロファイルを第三者に詐取されることによるリスクを極小化するための措置だ。とはいえ、他事業者にはない仕組みなので、ユーザー目線ではかなり煩雑に思える。

 ただし、機種によっては端末の操作で「SIMカードからeSIMへの移行」「別端末へのeSIM転送」を行える。これをうまく活用すれば、この煩雑さからは解放される。

ドコモ ドコモの場合、eSIMを発行する際に端末内のeSIMのEIDを提出する必要がある。これは「ドコモオンラインショップ」における手続き画面だが、SIMカード→eSIMへの変更時も同様で、店頭でも同じくEIDの提出を求められる
端末によっては設定で ドコモユーザーで「EIDを入れるの面倒」という人は、機種によっては端末設定から「SIMカードからeSIMへの移行」を行えるので、これをうまく活用したい(Androidスマートフォン/iPhone・iPad)

 また、ドコモを含む全ての事業者で起こりうるのがeSIMを別端末に移行する手続きの問題だ。

 最近はiPhone/iPadだけでなく、Android端末でも端末操作で移行できる仕組みが導入されている。しかし、この仕組みは全ての端末が対応しているわけではなく、移行元端末と移行先端末の組み合わせによってはeSIMの“再発行”で対応せざるを得ない場合がある。

 機種購入を伴わない単純な“入れ替え”目的の再発行であっても、事業者によっては方法次第で事務手数料を徴収したり、新規契約時と同様の本人確認手続きが必要だったりする。手続き方法については、自分が契約している事業者のWebサイトなどで確認してほしい。

eSIM移行 iOS 26とAndroid 16では、ようやく懸案だったiPhone⇔Androidスマホ間のeSIM転送を実現した……のだが、事業者側の対応も必要で2025年11月時点において、日本の事業者では一切利用できない。ゆえに、iPhone⇔AndroidスマホのeSIM移行は「eSIMの再発行」で対応せざるを得ない

 率直にいうと、上記のようなことがあるので筆者個人としては「人類にとって、eSIMはまだ早い」と思うこともある。ゆえに、一般層も多く手に取るであろう新型iPhoneの発売時となれば「ショップでもトラブルが多く起こったのでは?」と予想していた。

 しかし、店舗スタッフに話を聞いた限りはドコモのシステム障害以外は大きな問題は起こらなかったということで、正直驚いた。「新型iPhoneのeSIMオンリー」をどこまで想定していたのかは分からないが、さまざまな理由でeSIM移行を強化した通信事業者や販売店の努力のたまものなのだろう。

 ただ、販売店目線に立つと、eSIMシフトには大きなデメリットもはらんでいる。店舗スタッフからはこんな話もあった。

 SIMカードまでデータ(eSIM)にされてしまったら、お客さまが店頭に来るきっかけが余計に減ってしまいますね……。

 「なぜか圏外になってしまった」と来店したお客さまがいたとして、今までは「SIMカードの故障による再発行」という手続きだけでなく、場合によっては「機種が古いから、セキュリティ面も考えて機種変更しましょう」、あるいは「プランが古いので新しいプランにするとお得ですよ」といった提案もできました。しかし、eSIMが主流になるとSIMカードをトリガーとする提案や契約の獲得/変更チャンスが減ってしまうのではないかと不安です。

 eSIMの普及は、店頭スタッフにとって別の悩みを増やしてしまったのかもしれない。

前のページへ 1|2|3       

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

アクセストップ10

2026年09月29日 更新
  1. 20万円超のXperiaを「買い」に変えた3週間 ソニーが「モニタープログラム」を実施した理由 (2026年09月26日)
  2. 「SuicaでJR東海エリアをまたげない」問題、ついに解消か JR東海社長「勉強している」【訂正】 (2026年09月27日)
  3. なぜドコモはahamoの大幅値上げを避けたのか? 段階制で安くなるケースと「アップセル戦略」の狙い (2026年09月26日)
  4. ドコモ値上げの背景は? 副社長が語るahamoの競争力と、「楽天モバイル意識」の本音 (2026年09月25日)
  5. ソフトバンクとLINEヤフーが「Yahoo!スマホ買取」を始めた理由 スマホ高騰時代に目指す「中古の循環」 (2026年09月28日)
  6. ドコモが低容量プラン「ドコモ mini2」発表 6GB/12GBの2段階で月額3278円/4598円 (2026年09月25日)
  7. 高額な「iPhone Duo」を横目にどう選ぶ? Androidフォルダブルスマホをお得に買う方法【2026年9月版】 (2026年09月27日)
  8. パナの電動アシスト自転車、スマホ連携が可能に バッテリーの盗難防止や残量通知など 12月発売 (2026年09月28日)
  9. “iPhone 18難民”の買い替え先は? 最新「iPhone 18 Pro」と型落ち「17/17e/16」から最適解を考える (2026年09月25日)
  10. JR東日本「分かりにくい」新幹線券売機を改善へ なぜ、スマホではなく「駅での最短1分購入」を実現? (2026年07月04日)
最新トピックスPR

過去記事カレンダー