―― 御社がMVNEをしているNUROモバイルでは、中大容量の「NEOプラン」に専用帯域を導入しています。ミークモバイルも、そのような設計になっているのでしょうか。
小林氏 NEOプランのような特別な設定は入れていません。全ての容量帯が同じ品質になります。
―― 公開されたのは、あくまでデータ容量と料金ですが、音声通話定額やeSIM対応などはどのようになっているのでしょうか。
小林氏 まずeSIMですが、こちらはドコモ回線からスタートします。KDDI、ソフトバンクのeSIMは検討中で、ここは準備ができ次第入れていきたいと考えています。
音声通話のオプションも用意しています。1社目がローンチされれば、全てのメニューを見ていただけるようになると思います。
―― 回線品質については、NUROモバイルだとAIで管理しているようなお話がありましたが、ミークモバイルはいかがでしょうか。
小林氏 ミークでも、週次でデータを見ながらやっています。MVNEはお客さまごとに帯域を設定していますが、ミークにはこれまでの蓄積もあり、何GBが何人いれば、どのぐらいの帯域が必要なのかは分かっています。
―― お昼休みに遅くなったり、大企業が一気にユーザーを集めて急に遅くなってしまったりといったようなことはないのでしょうか。
小林氏 今だとキャリア側が詰まることはありますが……(苦笑)。当社が今回提供するサービスでは、そういったところが気にならないレベルで運用したいと考えています。昔の格安SIMのように、帯域をすごく絞ってその時間は諦めてくださいというような感じにはならないようにしていきます。
ミークは太い土管(相互接続の帯域)を持っていますし、来週、どれぐらいのトラフィックになるかを見越すこともできます。大きい会社が入ってくれば、統計多重効果が効いてよりよい形になると考えています。
IIJと日本航空がJALモバイルを開始して契約者数を伸ばしていることからも分かるように、利用者の支持が高い経済圏を持つ企業のモバイルサービスは引きが強い。企業側にとっても、月額料金を払ってもらうことで毎月ポイントを付与でき、接点が増えるのは魅力になる。
一方で、いくらMVNEの支援があってもMVNOになるハードルは高く、ここが参入障壁になっていた。その意味で、MVNEを手掛けるミークがミークモバイルを立ち上げたのは、合理的な戦略といえる。
ミークにはMVNEとしての成功事例もあるため、今後、「powered by ミークモバイル」を冠したモバイルサービスが一気に増えていく可能性もありそうだと感じた。大手キャリアは経済圏を強化し、ユーザーを囲い込もうとしているが、ミークモバイルのような「MVNO as a Service」はその対抗馬になりうる。このサービスが成功すれば、MVNOが百花繚乱(りょうらん)の時代に突入することになりそうだ。
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