―― 10月に発表してから、引き合いは増えましたか。
小林氏 反響としては、ありがたいことにお問い合わせをいただいています。われわれが当初狙っていた方以外からも、連絡が来ています。
―― 規模感としては、どのぐらいの企業を想定しているのでしょうか。インフルエンサーが自身のモバイルサービスを立ち上げるというようなこともありえるのでしょうか。
小林氏 数万規模の会員をお持ちの企業の場合、そこから5%なり10%なりの方が入っていただければ、数千件のモバイルユーザーになります。そうなると、ユーザーはもちろん、ブランドを提供している方々の価値が出るというのが私のイメージです。ただし、われわれが規模を決めるわけではありません。お話をいただければ、会社でも個人でもご提供したいと考えています。
例えば、ファンクラブのようなものは、熱量が非常に高い。数万以上のファンクラブはそこまで多くはありませんが、熱量が高い分、規模はもっと小さくても可能性はあります。メインは大企業などになるかもしれませんが、プラットフォーム型にしているので、小さなところにも可能性はあります。
―― インフルエンサーのような個人だと、ポイントを還元するのではなく、自身の活動資金にするということもあるかもしれません。
小林氏 基本的にはプラットフォームなので、条件さえ合えばやっていただきたいスタンスです。
―― とはいえ、規模が小さくなると怪しい案件も増えそうです。実際、MVNOの回線が犯罪に使われてしまったということもありました。
小林氏 通信事業者なので、そこは厳しく審査をしていきます。そういうことに使われないよう、気を付けていきます。
―― 現状だと、どのような会社が参入を検討しているのでしょうか。
小林氏 意外とさまざまな業種の方にご興味を持っていただけています。細かくは言えませんが、小売系の方もいれば、EC系の方もいます。オンラインで特定の商品を販売していて、それを購入する方が何千、何万といるような方とのお話もしています。また、ご興味を持っていただいているレベルだと、サブスクでコンテンツを提供しているような方からもお問い合わせをいただいています。
―― 先ほどはコンシューマー向けサービスをやっていない課題をうかがいましたが、逆に強みはどこにあるとお考えでしょうか。
小林氏 今回は、パッケージ型でやらせていただいていることが1つのポイントになると思っています。基本的にカスタマイズを受けない代わりに、当社が売れるような価格を設定しつつ、手数料はしっかり還元します。このモデルに特化しているのが、今回の特徴です。
また、回線がドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアに対応していて、MVNEをやっているので回線品質にも自信があります。ユーザーの中には、今使っているキャリアの回線がないと乗り換えないという方が意外と多い。ほとんどの方がこの3キャリアを使っているので、3キャリアの回線があるとその障壁が下がるのは強いと思っています。
―― MVNEのミーク側は、楽天モバイル回線にも対応する予定です。ミークモバイルも4キャリアになりますか。
小林氏 相互接続試験までは完了していて、準備ができ次第、ミークとしては提供を開始する予定ですが、ミークモバイルは検討中です。
―― とはいえ、楽天モバイルはエリアや通信品質というより、どちらかといえば料金やエコシステムに魅力を感じて加入するユーザーが多いような印象です。MVNOで回線を問わず同一料金になってしまうと、あえて楽天モバイルを選ぶ人は出てくるのでしょうか。
小林氏 このサービスは、あまり詳しくない方が入ってこられると想定しています。今、楽天モバイルを使っているから、こちらでも楽天モバイルがいいという方は、一定数取り込めると思っています。
―― 先ほど、カスタマイズはしないとおっしゃっていましたが、この容量は提供しないといった簡易的な形のカスタマイズもできないのでしょうか。
小林氏 用意しているプランの中で、自社で使いたくないものがあれば表示しないようにすることはできるようにしています。
―― では、企業によっては小容量をなくし、比較的、お金を払ってくれるユーザーだけに絞るということもできそうですね。
小林氏 戦略に応じて誘導できるようにはしています。ただ、それぞれのブランドのファンの方にも、モバイルサービスにあまり強いこだわりがない方はいます。そのような方々に入っていただく際に、入れるプランがないと足が止まってしまいます。今のものがいいだろうということで、あのラインアップにしています。
―― 大体の目安でいいのですが、実際に○○モバイルが出てくるのはいつ頃になりそうでしょうか。
小林氏 現時点では、年度末の2026年3月末までに売り上げが立つレベルで始まることはないという認識です。最速で3カ月あればスタートできるので、今から始めても間に合うことは間に合いますが、大きな会社になればなるほど、先方の承認に時間がかかることもあります。
―― 細かなところを伺っていきますが、〇〇モバイルが立ち上がった際には、どこまでミークモバイルという名前が出るのでしょうか。
小林氏 各社の判断にはなりますが、基本的には「powered by ミークモバイル」と出していただくよう、お願いしています。ユーザーには当社が直接サービスを提供するので、そこはご認識いただきたい。ただ、マイページやマイページのURLのサブフォルダは企業のお客さまごとに設定できるようにしていますし、カラーを変えたり、ブランドロゴを載せたりということもできます。
―― 約款ではミークモバイルとの契約という形になるんですよね。
小林氏 はい。約款はもちろん、重要説明事項も全てミークモバイルの名前になります。
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