とはいえ、ガラホは厳密にはスマートフォンではない。繰り返しにはなるが、ガラホはAndroid OSをベースにして開発されているものの、一般的なAndroidスマートフォンのように「Google Play」を介して自由にアプリをインストールすることは基本的にできない。タッチパネルを搭載していない機種も多く、操作体系も根本的に異なる。そのため、機能面や拡張性においてスマートフォンと同列とは言い難いのだ。
一方で、ガラホと称される端末は、多くの機種で「LINE」などのモダンな通信アプリや、高音質な通話規格であるVoLTEが利用できるメリットがある。この「ガラケーの形なのにLINEができる」「中身はAndroidだがアプリは自由に入らない」という中途半端にも見える多機能さが、さらに定義を複雑にしている。父にとってフィーチャーフォンは「電話とメールができればいい道具」であり、OSが何かは重要ではない。
シャープは「AQUOS K SHF34」のスペック表に「Google PlayストアやGmailはご利用いただけません」と明記している。つまり、ベースはAndroidでも利用できるアプリやコンテンツはスマートフォンとは異なるのだ(出典:「AQUOS K SHF34」のスペック表)メーカー側がガラホへ移行した背景には、部材調達の事情も大きく関わっている。フィーチャーフォン向けの専用OSやチップセットの開発が世界的に縮小し、スマホ向けの汎用部品を流用して折りたたみ携帯を作る方が合理的になったという事情がある。つまり、ユーザーのために進化したという側面と同時に、製造側の論理として「中身をスマホ化せざるを得なかった」という側面もあり、これが外見と中身のギャップを生む要因となった。
こうした複雑な背景があるにもかかわらず、動画の尺が短いテレビ報道を中心に「ガラケー終了」というパワーワードが広く浸透してしまった。これが「ドコモ3G終了に伴い、ガラケーという形状の端末全てが使えなくなる」という誤解につながったと思われる。ニュース番組の短い尺の中では、通信の世代や4G対応のフィーチャーフォンが市場に存在することを十分に伝えきれず、簡潔なタイトルだけが独り歩きしてしまうのだろう。
とりわけドコモ3G停波=ガラケー終了ではないことは、専門誌としては改めて強く伝えたいメッセージだ。「2026年以降も、オンラインショップや店頭に在庫があれば、4G対応のフィーチャーフォンは新品で買えるし、使える」。この単純な事実こそが、今最も伝えなければならない情報だ。
では、手元の携帯電話が来春以降も使える「ガラホ」なのか、使えなくなる「3Gガラケー」なのか、どう見分ければよいのだろうか。最も簡単な方法は、画面上部のアンテナマーク付近を確認することだ。そこに「4G」や「LTE」、あるいは「VoLTE」という表示が出ていれば、その端末は4Gに対応しているため、2026年4月以降もそのまま使い続けることができる。逆に「3G」や「H(High Speedの頭文字、ドコモの場合はHSDPA/HSPA方式を意味)」といった表示しか出ない場合は、機種変更が必要だ。
ちなみに、らくらくホンとして初めて4G(高音質通話のVoLTEを含む)に対応した機種は「ドコモ らくらくホン F-02J」。ドコモが2016年12月14日に発売した。これ以前の「らくらくホン ベーシック4」などは3Gにしか対応しない(出典:2016年12月9日発出のニュースリリース)もし皆さんの家族や友人に、誤認をしたままの人から「ガラケーって春で終わるよね? スマホにしなきゃダメかな」なんて会話が切り出されたら、ぜひこの記事を参考に説明いただきたい。「終わるのは3Gという古い電波だけで、4Gに対応した新しいガラケーならこれからもずっと使えるよ」と伝えることをおすすめしたい。
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