Leitzphoneがグローバル市場に投入される。これまで日本市場でシャープと組んで展開してきたLeicaブランドのスマートフォンが、Xiaomiをパートナーに切り替えて世界に打って出る。2026年2月にバルセロナで開かれたXiaomiのグローバル発表会で、「Leica Leitzphone powered by Xiaomi」が正式に発表された。
中身は同時に発表された「Xiaomi 17 Ultra」がベースになっている。では何が違うのか。メカニカルカメラリング、Leicaのフィルムシミュレーションを再現するエッセンシャルモード、そしてLeicaが手掛けた専用UI。ハードウェアのスペックシートではなく、カメラを操作する手触りそのもので勝負する端末だ。
発表会後、Leica Camera AGでモバイル開発を率いるPablo Acevedo Noda氏と、XiaomiのSenior Product Marketing ManagerであるTJ Walton氏に話を聞いた。エコシステム戦略については、Xiaomi InternationalのAngus Ng氏(Director of Communications)とJennifer Zhang氏(Senior Product Marketing Manager)にも取材している。
―― なぜこのタイミングでグローバル展開に踏み切ったのか。
Walton氏 Leicaとの協業は段階的に進めてきた。最初の数年間はお互いに学び合う期間で、モバイルでどうやったら最高の体験を作れるか手探りだった。前世代の「Xiaomi 15 Ultra」で1型センサーのメインカメラと2億画素の望遠を載せて、今世代でさらにその先に進んだ。Leitzphoneをグローバルに出せる水準に達したと社内で判断した。
Noda氏 Leicaも同じだ。日本では別のパートナー(シャープ)と「Leitz Phone」を出していて、そこで多くを学んだ。ユーザーからのフィードバックはポジティブだった。だからグローバルに出そうと考えた。ただ、グローバル展開にはより強いテクノロジーパートナーが要る。Xiaomiと組むことで、それが実現できた。
―― 日本で出していた以前のLeitz Phoneと比べて、何が変わったのか。
Noda氏 新しいLeitzphoneの方がはるかに高い性能を持っている。それは明らかだ。
―― ただ、Xiaomi 17 Ultraとプラットフォームは同じだ。どこで差をつけるのか。
Noda氏 プラットフォームは共通だが、体験は全く違う。まずメカニカルカメラリング。撮影に触覚を取り戻す仕掛けだ。それからエッセンシャルモード。M3モードはモノクロフィルム「Monochrom 50」の描写を再現していて、M9モードはライカ最後のCCDセンサーカメラの色を模している。加えてUI全体をライカのDNAに沿って設計した。
Walton氏 Leicaのカメラを持っている人なら、Leitzphoneに親近感を覚えるだろう。Noda氏が話した3つの要素は、つまるところ「カメラを使っている感覚」そのものだ。そこがXiaomi 17 Ultraとの一番の違いになる。
―― エッセンシャルモードで再現したのは、なぜLeica M3とM9だったのか。
Noda氏 候補はいくつもあった。その中で最もキャラクターが強く、ユーザーが撮っていて楽しいのがこの2つだった。M3モードの中身は実はMonochrom 50のフィルムシミュレーションだが、「M3」と呼んだ方が歴史的な重みがある。M9はライカ最後のCCDセンサーカメラで、あの独特の色味を再現した。
―― カメラリングをタッチセンサーではなくメカニカルにしたのはなぜか。
Noda氏 カメラマンがレンズのズームリングやフォーカスリングを回す。あの感覚をスマートフォンに持ち込みたかった。Leitzphoneが届けたい相手はフォトグラフィー愛好家だ。なじみのある操作感でなければ意味がない。
―― Light Fusion 1050Lセンサーに搭載されたLOFIC。これはどういう技術か。
Noda氏 各ピクセルに、光があふれたときの受け皿となる追加の容量を持たせた。光を受けるキャパシティーは従来の6倍以上になる。白飛びと黒つぶれが大きく減り、ダイナミックレンジが格段に広がった。スマートフォンカメラには不可欠な技術で、いずれ他メーカーも採用するだろう。
―― 次世代に向けて、LOFICにはまだ伸びしろがあるか。
Noda氏 もちろんある。フォトダイオードから飽和した電荷を受け止めるキャパシターを大きくすれば、ダイナミックレンジはさらに拡張できる。センサーベンダーとは継続的に協力して、この先を探っている。
Walton氏 Xiaomiもセンサーやチップセットのパートナーと密に連携しながらユーザー体験を詰めていく。LOFICもその延長線上にある。
―― 望遠カメラにAPOレンズ認証がついた。スマートフォンでは世界初だという。認証テストはプロ用レンズと同じ基準なのか。
Noda氏 まったく同じだ。Leicaはプロ用カメラレンズに対して極めて厳しいテストを行っていて、APOはその最高水準に与える認証だ。今回の望遠レンズ設計にもプロ用と同じ工程を適用し、全項目をクリアした。特に色収差の補正がAPOの基準を満たしている。ぜひ15 Ultraの望遠と今回のLeitzphoneの望遠を比較してほしい。色の違いが分かるはずだ。
―― メカニカル光学ズームは、実際にはどんな場面で生きてくるのか。
Walton氏 自分が使っていて感じるのは2つ。1つはビデオだ。4Kライブシネマトグラフィーや、歩く人をズームする「レッドカーペットモード」は、メカニカル光学ズームがないと成り立たない。もう1つは望遠ポートレートで、ストリートフォトを撮るときに75mmから100mmの間をじりじり動かしながらフレーミングを詰められる。デジタルズームなしで200MPセンサーの全画素を使えるのは大きい。
―― 前モデルの15 Ultraにあった70mmフローティング望遠レンズがなくなった。復活の可能性はあるか。
Noda氏 正直、必要性を感じていない。今回の望遠は200MPセンサーにメカニカル光学ズームを組み合わせていて、70mmモジュールよりセンサーがずっと大きい。70mmの10センチマクロ撮影にしても、新しい望遠の最短撮影距離30センチから200mm相当にズームすれば、ディテールはほぼ同等だ。70mmモジュールが担っていた役割は今のプラットフォームで全部カバーできている。
―― Xiaomi 14 Ultraにあった可変絞りの復活はどうか。
Noda氏 カメラリングとの組み合わせを考えると、光学的にかなり面白いテーマだ。検討テーブルには乗っている。ただし、今は具体的な確約はできない。
―― Xiaomi 17 Ultraのバッテリーが17より小さいのは、やはりカメラが理由か。
Walton氏 一因ではある。メカニカル光学ズームを含むカメラシステムは内部構造が複雑で、スペースを取る。最高のイメージング体験を確保した上で、物理的に入る最大のバッテリーを積んだ。そのバランスの結果だ。
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