衛星通信サービスとの使い分けについても質疑応答で焦点が当たった。KDDIの小坂氏は、自社で提供している衛星通信サービス「au Starlink Direct」とJAPANローミングとの接続の優先順位について詳しく説明した。小坂氏によると、緊急通報のみ方式が発動された場合はStarlinkへの接続が優先されるが、フルローミング方式が発動された場合は通信のキャパシティーなどを考慮し、JAPANローミングによる他社ネットワークへの接続が優先されるという。
ただし、au Starlink Directはいずれの方式においても緊急通報を含む音声通話には対応していないという。そのためKDDIの小坂氏は「緊急通報や音声通話をご利用の場合は、お客さまご自身で手動で切り替えていただく必要がある」と注意を促し、「衛星通信があったとしても地上局での通信は必ず必要になってくる」と地上のネットワークの重要性を強調した。楽天モバイルBCP管理本部長の磯邉直志氏も「2026年第4四半期(10〜12月)の『Rakuten最強衛星サービス Powered by AST SpaceMobile』サービス開始を目指している」と自社の展望を補足した。
他社ネットワークを利用した際の料金精算は事業者間で行う。ドコモの尾崎氏は「卸での提供になるため、基本的には利用した分を各事業者間で精算する」とした。「回線障害が起きてもローミングでカバーできるため、設備投資のペースが減速するのではないか」という懸念に対して尾崎氏は、JAPANローミングのサービスを「ネットワークを直すまでの暫定的なローミング」と位置付け、「ネットワークの復旧はこれまで通り各社実施していく」と説明した。
KDDIの小坂氏やソフトバンクの杉本氏も「あくまでも非常時の代替手段となるので、投資のモチベーションが落ちるということはない」とし、迅速な復旧に向けた設備投資の継続を断言した。
サービス開始時点でのネットワークは4Gのみ。現状、ネットワーク側において5Gでの非常時事業者間ローミングの検討や仕組みの構築が行われていないためだ。5Gへの対応についてKDDIの小坂氏は、「4Gのサービス終了などが見えてきた段階での検討になる」と説明した。3Gについては既に各社で停波(サービス終了)が進んでいるため、こちらもJAPANローミングの対象外だ。
周知活動について問われると、ソフトバンクの杉本氏は、説明会の冒頭でも投影された解説動画や各社のサービス説明ページを通じて周知していくと回答した。さらに「総務省の協力をいただいて各自治体へもチラシの配布を進めている」と語り、防災イベントや避難所などでチラシを配布して利用方法の理解を促す方針を示した。
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