キャリア側が仕様を策定し、メーカーがそれに沿う形で機能を実装するというは他のスマホでも一般的な流れだが、Natural AI Phoneの開発では、考え方を変えた部分もあったという。足立氏は、「AIの発展のスピードは速く、われわれキャリアも考え方を変えないと追い付けない」としながら、次のように語る。
「われわれが検証しないと出せない、というスタンスを取り続けていると出せない。Android(スマホ)として成立するところはちゃんと見たが、AIはBrain Technologiesが提供している部分。新機能を入れることは知っておく必要があるが、ストップをかけるようなことはなるべくしないようにした」
とはいえ、Brain Technologiesは一般的なスマホメーカーではなく、AIの技術に特化した会社。ユーザーインタフェースやAIエージェントを組み込むことは得意だが、ハードウェアの開発経験は乏しい。Natural AI Phoneも、「Appleのような、世界的に有名な端末を製造しているパートナーがいる。そことタッグを組むことで、このスマホを開発している」(ユー氏)という。
もっとも、エージェント的なAIを組み込んだOSを開発したければ、スマホというハードウェアまで手掛ける必要はないようにも思える。既存のメーカーとタッグを組み、技術を採用してもらうビジネスモデルもありうる選択肢だ。あえてスマホまで開発したのは、「少なくとも初めて提供するNatural AI Phoneは、われわれが全てをコントロールしたらこうなるということを披露したかったから」(同)だという。OSレベルの深いカスタマイズを行い、理想を実現するには、自社でスマホを開発するのが最も近道だったことがうかがえる。
スマホという形にこだわったのは、ディスプレイを備え、タッチパネルで操作できることが必要だったからという。海外では、音声操作を中心にしたピン型のAI端末も出ているが、鳴かず飛ばずのまま消えてしまっているものが多い。
人間は「目で見た方が、早く把握するのが簡単」(同)だ。ユー氏は、「しゃべることで深く、自然な言語でインプットすることはできるが、視覚であれば、パッと見ただけで判断できる」としながら、次のような例を挙げる。
「タクシーを予約する場合の、UberやGOの利用を考えると、音声は役立つこともあるがそうでないこともある。もしUberから『〇〇通りにいるので、そこでお待ちください』と言われたとしても、それを視覚化することができず、ドライバーがどこにいるのかも判断できない。しかし、地図を一目見れば、自分が正確にどこにいればよいのかが分かり、確信を持つことができる。だから、視覚とタッチの自然の組み合わせで、何がいいのかを考えた」
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