2年半ぶりタフネススマホ「TORQUE G07」開発の裏側 「強さは、新たなる境地へ」に込めた思いとは(3/3 ページ)

» 2026年06月30日 12時45分 公開
[金子麟太郎,ITmedia]
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法人向けには展開予定、価格は10万円を切りたかったが厳しかった

―― 販路について、オープン市場や法人向けに拡大する予定はありますか。

福井氏 今回のTORQUE G07に関しては、KDDI向けの商品ですので、オープン市場への展開は予定していません。法人向けの展開については、今後取り扱う予定です。

―― KDDIも企画に関わっているのでしょうか。

福井氏 そうですね。TORQUEは企画段階からKDDIさんと密に話をさせていただいているモデルです。

―― ドコモ向けに欲しいというような要望はありますか。また他キャリアのStarlink使用時も受信感度の恩恵は受けられますか。

福井氏 他キャリアで使いたいという要望はあります。端末自体はSIMフリーですので、auで端末をご購入いただき他社のSIMを挿して使うこと自体は可能です。

山田氏 無線の性能としてはどのキャリア向けのStarlinkであっても同じですので、仕様上は使えます。ただし、キャリアごとのサービス運用仕様に依存する部分があります。

―― 法人向けの「DuraForce」シリーズとは、どのようにすみ分けて開発しているのでしょうか。

福井氏 TORQUEはコンシューマーのお客さまがいらっしゃいますので、カメラ性能の向上やカラーバリエーションなど、コンシューマーならではの要求スペックを満たすようにしています。一方のDuraForceは法人に特化している端末ですので、そういったコンシューマー向けの過剰なスペック要求を持たせず、用途を明確に分ける形ですみ分けを行っています。

長谷川隆 京セラ 通信技術部 ビジネスソリューション戦略部 マネジメント1課責任者 長谷川隆氏

―― TORQUE G07の価格は一括13万円を超えます(au Online Shopで一括13万1800円)。G06から3万円と少し値上げされていますが、価格の高騰はどのような背景からなのでしょうか。

長谷川氏 部材費の高騰や為替の影響に加え、追い打ちをかけるようにメモリ不足の影響を受けています。目標としては何とか10万円を切りたかったのですが、結果として収まりませんでした。

―― 採算的にはどうですか。

長谷川氏 採算はかなり厳しいというのが正直なところです。ただ、開発リーダー陣が自ら進んでチャレンジングな仕様に取り組んでくれ、当初想定していた仕様に加え、後から要望を反映してスペックを足した部分が非常に多いモデルになりました。開発費は厳しいですが、コストを調整しながらお客さまにとってもわれわれにとってもベストなところを狙えたと思っています。

―― 3月の発売から売れ行きはいいですか。

福井氏 価格が上がった影響はありますが、端末購入プログラムを利用して買い替えてくださる方も多く、好調に推移しています。

フィーチャーフォン型モデルは現在の市場環境では厳しい

―― フィーチャーフォン(折りたたみ型タフネス端末)の要望などはありますか?

長谷川氏 要望は一定数あり、2017年に発売した「TORQUE X01」は想定通りの売れ行きでした。しかし今後の可能性については、スマホへの買い替えがかなり進み、フィーチャーフォンのユーザー層はシニアに寄っていることから、現在の市場環境では厳しい状況です。

【訂正:2026年6月30日17時45分 TORQUE X01について、事実と異なる箇所がありました。おわびして訂正いたします。】

携帯電話 折りたたみ フィーチャーフォン TORQUE G07のオリーブ(写真=左)と、京セラが製造を担当した4G LTEケータイ「G'zOne Type-XX」(写真=右)

石橋氏 耐久性を持たせた折りたたみ端末は内部構造が複雑になります。技術的には現在でも設計可能ですが、高耐久のスマートフォンか高耐久のフィーチャーフォンのどちらが作りやすいか? というとスマートフォンです。

フィーチャーフォン タフネス端末 折りたたみ型のタフネス端末は内部構造が複雑になるため技術的には可能であってもスマートフォン型の方がより高い耐久性を持たせやすいという設計上の見解が示された。画像はTORQUEの名を冠した4G LTEケータイ「TORQUE X01」(出典:過去記事)

―― 今後のTORQUEの展望はいかがでしょうか。

福井氏 価格高騰や部材不足など、タフネススマートフォンを取り巻く開発・採算環境は確かに厳しさを増しています。しかし、今回のG07でも、後からStarlinkの感度向上やタッチプラスなどの仕様を熱意で追加したように、われわれの開発メンバーは非常に意欲的です。今後もユーザーの皆さまの声に真摯(しんし)に耳を傾け、他にはない「ワクワク感」を裏切らない、より進化したTORQUEを世に送り出し続けたいと考えています。

取材を終えて:ユーザーの声に応える姿勢が愛される理由に

 今回のインタビューを通して、京セラの開発陣がTORQUEユーザーの声をいかに大切にし、真摯に向き合っているかを強く感じた。泥水環境を想定した内部構造の工夫や、衛星通信への対応に向けた独自のアンテナ設計など、見えない部分に隠された技術的な挑戦には驚かされる。

 コストや環境の変化といった厳しい条件下でも、「ユーザーにワクワク感を提供したい」という熱意でタッチプラスなどの新機能を実現していく姿勢こそが、長く愛されるTORQUEシリーズの根幹を支えているのだと思う。これからのさらなる進化にも大いに期待したい。

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