続けて注目したいのが、3つ目の「ODAWARA」こと「小田原機器」だ。同社が主力としているのはバスの運賃箱など収受機器大手で、運行・車載システムを含めて業界最大手のレシップ(Lecip)と並んで2社でほぼ寡占状況にある。そんな小田原機器がFiRaのメンバーに名を連ねた理由だが、言うまでもなくUWBを使ったバスの乗降(運賃収受)システムの開発と実証実験に乗り出したと考えていい。
7月9日には、りそなホールディングス、JCB、小田原機器が、新たなバス乗車体験を実現するUWB決済実用化に向けた協業覚書の締結を発表した。
具体的なスケジュールや実証実験の内容は不明だが、JCBが現在公開しているスコープでは「交通事業者との公共交通検討(バスを想定)」とはっきりと資料に書かれており、実証実験で提携するバス運行会社は不明なものの、機材開発などでは小田原機器がJCBと組む形で日本国内でのバスのUWB乗降システムに関わることになると思われる。
多数の人間が入り乱れる駅改札とは異なり、バスにおけるUWBを使った“タッチレス”での乗車はそこまで難易度が高くない。既に韓国ではUWBを使ったバスの運賃収受システムの実証実験がスタートしているが、UWB対応スマートフォンを持った利用者が、乗降口に設置されたセンサーを通過した時点で“乗車した”と判断し、今度は降車時のタイミングでセンサーを通過した時点で“下車した”と判断。あらかじめ登録済みのクレジットカードなどの情報から区間運賃を引き落とす仕組みとなる。
区間運賃の算定は交通系ICカードの他、stera transitにおけるクレジットカードの“タッチ乗車”でも実施されており、基本的には運行中のバスが把握している「現在の停留所情報」を元に、2点間移動の請求額を運賃テーブルから算定する。
ただ日本の場合、乗り合いバスの都度乗車であっても「一律運賃」と「区間運賃」が存在し、運賃収受方法が異なる。前者は乗車時に引き落とすだけでいいが(主に「前乗り後ろ降り」)、後者は区間運賃となるためセンサーで2回検出する必要がある(主に「後ろ乗り前降り」)。両方のケースを想定してシステムを組んでいく形になるが、特に後者の場合はセンサーがうまく働かずに引き落としに失敗してそのままバスを出てしまったケースで運賃を取り損ねる結果になるため、このあたりのトラブルをバスのドライバー含めてどう対処していくかがポイントになるだろう。
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