こうした特典を追加した背景には、JALやANAなどの航空会社が参入したことで、市場に広がりが出ていることもあるという。猪腰氏は、「JALモバイルやANAモバイル(が登場したこと)に関しては、私目線で言うとプラスだと思っている」と話す。
「大手のキャリアからMVNOへ移行させるのが難しい中で、JALやANAのような強い経済圏で移行が進むのは(MVNOにとって)かなりのチャンスになっている。その経済圏を離れるタイミングになれば、分母が広がっているので中長期としてプラスの影響が大きい。HISが取り扱っているエアラインの比率で、JALとANAで50%を超えているかというと、そんなことはない。直接の競合にはならないし、プラスの面が大きい」
中容量帯の料金を引き下げただけでなく、旅行時の通信特典がさらに充実したHISモバイルだが、契約者数は20万回線が見えてきたところだという。料金プランの改定で、「来期、何とかこの数字にこぎつけるようにしたい」(同)というのが、同社の目標だ。
一方で、海外での通信についてはまだ改善の余地もある。無料ではあるが、デュアルSIM対応端末にeSIMのダウンロードが必要など、まだ手間がかかるからだ。事前の準備や設定の必要がなく、現地に行くとすぐにつながるキャリアの海外ローミングと比べると、この点がハードルになる。
これを解決するには、HISモバイルに回線を提供する日本通信の音声フルMVNOサービスを待つ必要がありそうだ。日本通信は、11月に国内初の音声フルMVNOとして「blue mobile」のサービスを開始する予定。SIMカードの発行も可能になるため、同社が海外キャリアと接続すれば、技術的には海外ローミング時のデータ通信が可能になる。
猪腰氏によると、現状では「具体的にどこと接続し、いくらぐらいで提供できるかの具体的な話には至っていない」が、「できるようになったら提供したい」と期待をのぞかせる。ローミングの実現は日本通信が音声フルMVNOに手を挙げた理由の1つ。同社がMVNEとして支援するHISモバイルは、その恩恵を最も受けそうなMVNOの1社なだけに、早期にサービスを実現できるかどうかに注目しておきたい。
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