“Made in Japan”で生まれ変わったNetbook「FMV-BIBLO LOOX M」をめでる:この丸みがたまらない(3/3 ページ)
富士通のNetbookがフルモデルチェンジを果たし、性能とデザインの両面で大幅な強化が行われた。その実力を見ていこう。
前モデルからグラフィックス性能が若干向上
それでは、ベンチマークテストで本機の性能を計測してみよう。Windowsエクスペリエンスインデックスのスコアは画面の通りだが、以前にレビューしたAtom N280搭載機に比べ、グラフィックスのサブスコアがよい。これはビデオメモリとして共有するメインメモリがPC2-4200からPC2-5300へと高速化したことが大きいと思われる。ほかのテストの結果を見ても、グラフィックス関連のスコアで若干の性能向上が見られる。従来機と比較して画面解像度が高くなっていることもあり、使用感の向上は大きい。そのほかの項目については、他社のAtom N450搭載モデルと同様、Atom N280からの向上は着実にあるが、特筆すべき点はあまりない。
バッテリーの駆動時間は、海人氏のBBench 1.01で計測した。10秒ごとにキー押下、1分おきに無線LANでWebアクセスを行う設定(電源プランは「バランス」、液晶輝度は40%)で駆動時間は3時間15分(バッテリー残量が残り6%)だった。公称値には及ばないが、前モデルからは確実に進歩しており、モバイルPCとして実用的な駆動時間はぎりぎり確保したといえるだろう。
気になる静音性も優秀だ。室温22度、暗騒音32デシベルの環境で、アイドル時が34デシベル、高負荷時もほとんどが34デシベルだった。冷却ファンの風切り音は、耳元を左側面にある排気口に近づけると聞こえる程度で、机の上に置いてタッチタイプする利用姿勢ではほとんど分からない。電源投入直後や高い負荷をかけ続けると、まれにファンが高速回転して40デシベル程度に達するときもあったが、どちらもすぐに収まった。
発熱はボディの右側が中心で、しばらく利用していると右パームレストが熱を持ってくるのがはっきり分かる(38度前後)。底面も右側の一部で40度近くなるので、今の季節は暖かいという程度で不快とまではいかないが、夏場などは少々気になるところだ。
「安さ優先」ではない本気のNetbook
本機には2年間ライセンス版Office Personal 2007が付属するほか、全16種の辞書・辞典コンテンツなどを搭載している。発売直後は7万円前後した店頭価格も、原稿執筆時の2010年3月段階は大手量販店で5万9800円が相場だった。台湾メーカーなどの製品と比べればどうしてもコストパフォーマンスでは見劣りするが、国内大手メーカーの製品としての仕上がりは悪くない。また、直販のWEB MARTではBTOこそできないが、より安価なモデルが用意されているので見逃せない。
同社の製品に限らず、全体的にNetbookはバッテリーの駆動時間が短かったり、ACアダプタのサイズが大きかったり、低コストを優先するためにボディが小さいにもかかわらず携帯性の面があまり重視されていない傾向が目立った。本機ではその辺りをキッチリと改善してきているうえに、スクロールパッドの装備など小さいボディを補う入力環境の工夫やUSBメモリ機能など、サブPCとしての使い勝手に配慮した付加機能も装備するなど、安さ優先ではなく、必要なところにコストをかけてきたという印象だ。きちんとモバイルで使いたいというユーザーにアピールできるNetbookに仕上がっているといえる。
Netbookのユーザー層は幅広く、必ずしもモバイルだけが目的ではないユーザーもいるだろうが、コストパフォーマンスではCULVノートPCというジャンルがあるだけに、より小型で軽量のNetbookではモバイル向けにフォーカスを定めてきたアプローチは理に適っているといえるだろう。上質な塗装を含めたデザイン、国内大手PCベンダーならではのサポート体制の安心感も合わせて、入門用のモバイルPCとしてはかなり魅力的な選択肢ではないだろうか。
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