最強のデスクトップPCがクアッドコアでさらなる高みへ――Endeavor Pro4000(2/2 ページ)

» 2007年01月24日 13時09分 公開
[坪山博貴,ITmedia]
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能力を発揮するのはエンコード利用時

 クアッドコアのQX6700とデュアルコアのE6700でどの程度処理能力が変化するのか、まずは定番のPCMark05/3Dmark05/06をそれぞれデフォルト設定で実行してみた。3D系に関しては現在のおいてはグラフィックスカードへの依存度が高いこともあるうえに、ゲームソフト自体のマルチコアCPUへの対応はさほど進んでいないので、あくまで参考値程度になる。

PCMark05(画面=左)/3Dmark05(画面=中央)/3Dmark06(画面=右)

 スコアの詳細はそれぞれグラフを参考にしてほしい。PCMark05、3DMark06ではQX6700が確実に上回るスコアを見せ、3DMark05はE6700がスコアで上回っているが、誤差とみなせる範囲にとどまった。3DMark05はマルチスレッドには部分的にしか対応しておらず、CPUScoreを見る限りむしろQX6700では、4つのコアに処理を分散することがかえってオーバーヘッドになっているように感じられる。

 QX6700がスコアでは上回ったPCMark05と3DMark06の結果でも、そのCPUコア数の違いを考慮するとスコア差は小さい。3DMarkに関してはグラフィックスチップへのスコアの依存度が高く、PCMarkに関してはHDDへの依存度も無視できないレベルにあるため、当然の結果とも言えるだろう。


 そこで本格的にマルチコアに対応したソフトウェアとして、Pegasysの「TMPGEnc 4.0 Express」を使ってみた。いわゆる動画エンコードソフトだが、エンコード自体がマルチスレッドに対応するほか、バッチによる同時エンコードは論理CPU数まで同時に行うことができる。QX6700なら4つ、E6700なら2つのエンコードを同時に行えるわけだ。筆者の常用ソフトでもある。

 エンコードのソースファイルとして準備したのは約4.6Mbps、一般に言うSPモードで録画した実写の番組を冒頭から検証用に10分間にカット編集したもの。これをDivX、WMV9、WMV9 Advanced Profileで画質固定のQB95、画質優先寄りの設定、さらに2D/3Dノイズリダクションも有効にして、筆者の普段のエンコード環境に近くしてある。

 グラフは1ファイルあたりのエンコード時間を示したもので、グラフの短いほうが高速だ。2ファイル、4ファイルの同時エンコードに関してはそれぞれのファイルのエンコード時間の平均値にしてある。

 DivXはマルチスレッドへの最適化がさほど進んではいないが、代わりにQX6700では4ファイルの同時エンコードまで1ファイルあたりのエンコード時間が目に見えて短くなっている。E6700の2ファイル同時エンコードに対して1ファイルあたりのエンコード時間は40%以上高速であり、HDD読書きなどのオーバーヘッドを考慮すればクアッドコアのメリットが十分に発揮されているといえる。

 WMV9は一般にデュアルコアまでが有効にエンコードに利用できるとされており、これはE6700では1ファイルと2ファイル同時エンコード(つまり1ファイルあたり2コアが有効に利用できるはず)の1ファイルあたりの所要時間に大きな変化がないところは、このことを裏付ける結果とも見て取れる。

 しかし、1ファイルのエンコードでもQX6700はE6700より30%近く所要時間を短縮している。これに関してはL2キャッシュを贅沢に使えた点も影響しているかもしれないが、2ファイルの同時エンコードではQX6700はE6700のほぼ半分の時間で1ファイルのエンコードを終えている。DivX以上にクアッドコアのメリットが大きい。

 よりマルチスレッド化が進んでいると言われているWMV9 Advancedでは、これを裏付けるようにQX6700でもE6700でも同時エンコード数による1ファイルあたりの所要時間の変化が小さい。しかしマルチスレッド化が進んでいる分、QX6700はE6700に対しておおむね30%程度は1ファイルあたりのエンコードに要する時間が短く、単純に1つのファイルをエンコードしてもクアッドコアのメリットをしっかりと発揮している。L2キャッシュサイズもアドバンテージだと思うが、これだけ差があるとやはりコア数の違いパフォーマンスに影響を与えているといえる。

用途次第では価格的に十分な魅力も

 現時点ではPCのごく一般的な利用ではデュアルコアの恩恵すら少ないと言われているし、これはおおむね正しい。となればクアッドコアの恩恵はさらに限定されることになり、これはベンチマークのスコアにも確かに反映されている。

 もっとも、いまどきのPCにおいてもCPU負荷が大きく、処理に時間を要する動画エンコードといった用途では、クアッドコアのメリットは十分にあることも確認できた。さすがにCPUコア数に応じてリニアに処理時間が変化するわけではないが、WMVでのエンコードに見られたように、1ファイルでのエンコードで30%近く所要時間を短縮できる点は大きなメリットだ。

 BTOでの価格差を見ると、E6700が9万9750円、QX6700が15万7500円となっており価格差は馬鹿にできないが、使い方次第ではほぼ倍の処理能力を発揮する場合もあるし、同程度の処理能力を得るためにデュアルコアCPUのPCを2台そろえることを思えば、むしろこの価格は魅力的にすら感じるかもしれない。けっして万人向けとは言えないものの、BTOメニューにCore 2 Extreme QX6700が追加されたことでEndeavor Pro4000がますます魅力的になったことは間違いない。

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