Intel UltraMobile Platform 2007を搭載した日本で初めてのUMPCということで、そのパフォーマンスが気になるところだ。800MHzで動作するA110はDothanコアのCeleron Mをベースにしているといわれており、LOOX Uでも動作クロックはフルパワーで800MHz、バッテリー重視にした状態でSpeedStepが有効になると600MHzとなる。チップセットに統合型のIntel 945GUを載せ、メモリはオンボード512Mバイトにスロット512Mバイトの合計1Gバイト、HDDは30Gバイトというスペックで評価機は構成されていた。
このスペックとほぼ似たようなUMPCとして、先日レビューを掲載したOQO model 2がある。OQO model 2はCPUがC7M/1.5GHz、チップセットが統合型のVX700、メモリ容量が1Gバイト、HDD60Gバイトという構成だった。今回評価に使ったLOOX Uが試作機ということでベンチマークの測定値をそのまま掲載することはできないが、その結果を以前掲載されたOQO model 2と比較すると、省電力モード、ハイパフォーマンスモードのいずれでもHDDを除くすべての項目でLOOX UはOQO model 2を上回っている。
冷却はファンレスとは行かず、筐体内部には負荷にあわせて回転数が変化する冷却ファンが組み込まれている。その音は、やや高く、また、回転数が変化するために必要以上に気になってしまう。ざわついているオフィスや喫茶店でも聞こえるぐらいなので、夜の住宅街や図書館など静寂を求められる場所でLOOX Uを使うには、ある程度“太い神経”が必要になるだろう。
LOOX Uの電力管理は、Windows XPのコントロールパネルで用意された「電源管理」に富士通が独自で用意した「省電力ユーティリティ」タグが加えられている。このユーティリティでは、LOOX Uが搭載しているインタフェースのうち、CFカード、SDメモリーカード、有線LAN、液晶ディスプレイ、HDDといったデバイスごとに省電力モードでの有効無効(液晶ディスプレイは輝度)を設定してバッテリー駆動時における消費電力を抑えるようになっている。なお、評価機で省電力モードに設定して、液晶ディスプレイの輝度やいろいろな処理をさせたときの消費電力をツール「MobileMeter」を使って測定した値を参考として掲げておく。
電力管理モード | LOOX Uの状態 | MobileMeter |
バッテリー最大利用 | アイドル、液晶輝度最低 | 4.72ワット |
アイドル、液晶輝度レベル4 | 4.87ワット | |
アイドル、液晶輝度最大 | 5.48ワット | |
アイドル、液晶輝度最大、無線LANオン | 8.07ワット | |
液晶輝度最大、無線LANオン、Youtubeで動画再生 | 10.06ワット | |
液晶ディスプレイ輝度最大、MPEG-2を再生 | 9.45ワット |
LOOX Uは、軽量、小型、低価格というUMPCのコンセプトを取り入れるだけでなく、実用的な携帯性能を有した筐体を有している。両手で持って親指タイプをするときだけでなく、クラムシェル形態で通常のノートPCのようにタイプする場合でも、14ミリというキーピッチを確保しているLOOX Uは、ある程度の長いタイピングも非現実的ではない打鍵感を実現している。
それだけに、「“ー”(長音)を入力するときはFnキーのコンビネーションが必要」であるために文字入力作業の流れを止めてしまうキーレイアウトが残念に思える。この部分が改善されるだけで“軽”“小”“安”のバランスがうまく取れた「使えるUMPC」となりえたであろう。
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