このまま保存してもいいが、ここで「ムービーの微調整」ボタンを押すと、微調整が可能な画面に切り替わり、「素材の入れ替え」ボタンを押すことで、素材の入れ替えや優先して使う素材の変更などが可能になる。テンプレートそのものを変えたい場合は「やり直し」ボタンを利用する。
メインタイトルやサブタイトル、出席者の一覧などのテキストを入力しておくと、作品の冒頭や最後に自動配置されるので、これも利用するとよいだろう。ただし、コメントの入力と同様、文字の大きさや配置は変更できない。また、イベントの出席者一覧などを入れたい場合は、スクロール表示されないので、文字列の長さによってはテキストを整形するなどの工夫が必要になる。
最後に「書き出し」ボタンを押せば、VAIO Content Exporterが自動的に立ち上がり、作品の保存が行なえる。DVD-VideoやBD-MV形式で保存する場合、メニュー画面にこだわりたければ「Click to DVDプロジェクトファイル」での保存を選び、Click to DVD(もしくはClick to DVD BD)で別途メニュー画面の編集を行なうとよいだろう。
なお、VAIO Content Exporterは、VAIO Movie Story以外でも使われる汎用のユーティリティであるため、VAIO Movie Storyとは別にプロジェクトファイルを保存するダイアログが開くのは気になった。
今回は結婚式の映像を作成した例を紹介したが、人物がいっさい出てこない、鉄道を撮影したビデオだけを素材にした場合でも、それなりにメリハリが感じられる作品になった。素材の内容が何であれ、モノクロやスローモーションをはじめとするエフェクトが「やりすぎない程度に」盛り込まれることが奏功している。また、BGMを自分で指定し、作品の長さを曲の長さよりも短く指定すると、BGMのサビの部分が残るように調整され、音声解析の精度の高さも感じられた。
ただし、素材が動画の場合も、ズームやパンによって一部分が拡大して使われることが多いため、とくにHD画質での出力時は、元の素材より解像感が甘くなってしまう場合がある。SD画質の作品を作る場合は気にならないが、ここは細部の画質に目くじらを立てるよりも、全体的な雰囲気を楽しむものとおおらかに考えたい。
ちなみに、今回は「VAIO type F(VGN-FZ71B)」で試用したが、多くの場合、数分で自動編集の処理が完了し、テンプレートによっては1分ほどで完了するものもあった。一方、出力にかかる時間は、BGMを指定しているかどうかや、出力するファイルの解像度によって大きく変わるようだ。テンプレートのBGMを使ったときは、10分ほどでSD画質のMPEG-2ファイルに保存できたが、同じテンプレートでBGMを6分ほどの楽曲に変更しつつ、HDV1080i形式で保存してみると、出力完了までの時間は1時間ほどにまで延びた。
VAIO Movie Storyは、ごくわずかな操作だけで、素材の重要度が高いシーンをきちんと盛り込んだショートムービーを作ることができる、非常にユニークなソフトだ。ビデオ編集ソフトの操作に慣れていないユーザーでも、迷うことなく完成にまで持っていける簡便さも好印象で、長年VAIOでのビデオ編集機能に注力してきたソニーだけあって完成度が高い。秋冬モデルのVAIOを手にしたら、眠っているビデオ素材やデジカメ写真を引っ張り出して、ぜひ一度体験してみてほしい。
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