PMX-M70を使ってみると、携帯するにはちょっと大きく据え置きで使うにはちょっと小さい。メニュー画面のレスポンスはもたつかず、操作でストレスは感じない。中国のスタッフがデザインしたそのスタイルには「ソニーらしさ」を感じることができる。メニュー表示で選択できる言語は、簡体字中国語と繁体字中国語、それに英語のみだ。日本語が表示されないのは、日本人ユーザーとして残念至極。
ソニーショップ店員が洩らす「最大のライバルはPSPだと思ってますけどね」という本音は興味深い。なるほど、同じソニーブランドで似たようなサイズの液晶ディスプレイを持つメディアプレーヤーとなると、中国では(非正規で流通する)PSPが存在する。新型登場で従来タイプPSPの実売価格がじわじわと安くなっているため、中国に輸入されたPSPの価格が「月給以上から月給程度へ」と下がりつつあるのだ。
とても使いやすそうに見える中華ウォークマンを、中国以外でも発売して欲しいと思う日本のユーザーは筆者だけであるまい。専用ソフトを使わず、エクスプローラでファイルが転送できる仕様に、中国で開発された中国人のためのウォークマンを欲しがる日本人は結構いるようなのだ。しかし、中国向けモデルはあくまで中国向けでしかなく、ソニーユーザーとしては、日本で中華ウォークマン仕様の製品が発売されないことにもどかしさを感じる。
このあたりの事情について、ソニー広報担当の佐藤栄子氏は、次のように説明している。
「中国の市場成長スピードや市場ニーズなどに合わせた中国独自商品の導入を行うCDEG(China Design & Enginearing Group)を2005年4月に発足させており、CE-PはCDEGと日本のコネクト事業部門(当時)が相互に協力して実現したものです。CE-Pを日本で発売しないのは、この製品が中国のマーケットニーズに合わせているからです」
このコメントを額面どおり受け取ると、中華ウォークマンは中国の事情に合わせて開発された製品であって、日本には日本の事情に合わせた製品を投入すべきである、ということになる。たしかに日本でも、PCのフォルダからプレーヤーに「マウスでドラッグ」して転送するより、手数がかかる専用ツールに抵抗を感じないユーザーが、シリコンベースの携帯プレーヤーが普及するにつれて多くなっている。
とはいえ、専用ツールを受け入れられるユーザーもいれば自分で直接データをプレーヤーに転送したいユーザーもいるわけで、そういう「ユーザーが選択できる自由」を与えてくれるのもメーカーの役割ではないだろうか。しかも、まったく新しいものを開発してくれというのではなく、製品はすでに中国で出荷されているだ。内部の事情について知る由もないが、「ソニー」という名前から受けるイメージには、「縦割り」というお役所言葉はあまり似合わないよなぁ、と思っているユーザーは少なくないのだが。
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