黒くてプレミアムな“R”に魅せられる──松下電器産業「Let'snote プレミアムエディション」(2/2 ページ)

» 2007年11月07日 12時30分 公開
[長浜和也,ITmedia]
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確実に向上した性能とわずかに増えた消費電力

 CPUとHDDが強化され、Intel Turbo Memoryが導入されCF-R7プレミアムはどの程度のパフォーマンスを発揮するのだろうか。ここでは、以前紹介したCF-T7のレビューと同様に、バッテリー駆動状態において、電源プランを「高パフォーマンス」「省電力モード」「パナソニックの電源管理」に切り替えた場合のそれぞれで、PCMark05とFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3を用いて測定した。なお、CF-R7プレミアムではIntel Turbo Memoryを用いた「Windows Ready Drive」を有効にした状態で測定を行っている。

 また、消費電力についてもCF-T7のレビューと同じく、液晶ディスプレイの輝度や電源プランを切り替えた状態において「YbInfo」を用いてシステム全体の消費電力を測定したほか、今回のレビューでは、新たに搭載されたファンの効果を確認するために、「ファン制御ユーティリティ」で設定されるファンの回転数を「標準」「高速」「低速」に切り替えた状態でCPUの温度がどの程度まで上昇するのかを、オンラインソフトの「PC Wizard 2008」に用意された「Processor Temperature」機能で測定した。なお、「Processor Temperature」ではコアごとの温度が測定できるが、今回は、より温度の高い値を測定値として採用している。

パナソニックの電源管理 省電力モード 高パフォーマンス
PCMark05 PCMarks 2744 1982 2700
PCMark05 PixelShader 12.6 12.5 12.9
PCMark05 VideoEncoding 205 142 189.6
PCMark05 Image Decompression 15.9 11.0 16.7
PCMark05 HDD VirusScan 31.8 25.4 29.8
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 High 1116 874 1077
FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3 Low 1617 1211 1548

電力管理モード システム全体の消費電力
アイドル&高輝度(20レベル/20段階) 7320mw
アイドル&中輝度(10レベル/20段階) 5760mw
アイドル&最低輝度(1レベル/20段階) 5680mw
省電力モード&低速&PCMark05 Multithreaded Test3 13840mw
高パフォーマンス&高速&PCMark05 Multithreaded Test3 19260mw

 搭載するCPUとチップセット、そしてHDDがCF-R7と同じCF-T7で行ったベンチマークテストの結果と比較すると、CF-R7プレミアムにおける性能向上をある程度知ることができる。

 CF-R7プレミアムのベンチマーク結果は総じてCF-T7のそれを上回っている。消費電力では、高輝度表示にしたときの値がCF-T7より少なくなっているが、これは液晶ディスプレイのサイズがCF-T7より小さいことが影響しているものと考えられる。輝度を中輝度、低輝度と暗くしていくと、逆にCF-R7プレミアムの消費電力はCF-T7を上回る。

 4つのスレッドが処理されるPCMark05 Multithreaded Test3における消費電力は、CPUの動作クロックがともに800MHzに抑えられる省電力モードでCF-T7が上回るものの、片や1.2GHz、片や1.06GHzと動作クロックが異なる高パフォーマンスモードでは、CF-R7プレミアムの消費電力が多くなっている。

パフォーマンスを重視するならファンは必須に

電源プラン 高パフォーマンス 省電力
ファン回転数モード 高速 標準 低速 高速 標準 低速
アイドル 57度 57度 57度 57度 57度 57度
PCMark CPU実行時最高温度 75度 75度 80度 63度 65度 65度
PCMark CPUテスト終了1分後 64度 64度 68度 57度 58度 59度
PCMark CPUテスト終了2分後 62度 62度 66度 57度 57度 58度
PCMark CPUテスト終了3分後 61度 61度 65度 57度 57度 57度

CF-R7の内蔵ファン。CF-R7プレミアムにも同じタイプのファンが搭載されている

 開発スタッフの説明によると、2007年秋冬モデルでLet'snote LIGHTの全モデルでファンを実装したのは、“Santa Rosa”の導入とWindows Vistaへの対応によって増加した発熱に対処するためということであった。今回は室温27度の環境で測定を行っているが、ファンの回転数モードに関係なく、アイドル時(無操作状態で10分放置した状態)におけるCPU温度は57度で安定していた。

 電源プランを“高パフォーマンス”に、ファン回転数モードを“低速”にした、最も厳しい条件において、PCMark05のCPUテストを実行した場合(約2分間)、最終段階でCPU温度は80度に達し、テスト終了後3分経過した時点でも65度までしか下がらなかった。“高パフォーマンス”“パナソニックの電源管理”プランでは、ファンの回転数を“高速”“標準”にしてもCPU温度は75度まで上昇し、その後も60度前後で温度が安定してしまったが、“省電力”プランにすると、CPU温度はファンの回転数設定に関係なく65度を超えず、テスト終了後も比較的早い段階で、57度まで下がって安定した。


 CF-R7プレミアムは、ジェットブラックカラーを全面に取り入れたデザインが与えるインパクトが、なにより強烈で、それだけでも「プレミアム」な雰囲気をユーザーに与えてくれるが、強化されたCPUとHDDも、それに見合った性能と使い勝手をユーザーに提供する。マイレッツ倶楽部価格の26万8000円(通常版のCF-R7のマイレッツ倶楽部価格は20万7950円)という“プレミアム”な価格に見合った価値を持っていると評価していいだろう。

 また、これはCF-R7プレミアムだけの話ではないが、2007年秋冬モデルで導入されたファンについても、“高パフォーマンス”プランとファン回転数が低速設定におけるCPU温度の測定値を見る限り、パフォーマンスを重視するユーザーには、もはや必須と言わざるを得ない状況にある。ファンの回転を完全にカットできない仕様も、ユーザーの過失による(電源プランとファン回転数の設定ミスなど)システムの破損を防ぐためには必要なのかもしれない。

 一方で、省電力プランにおけるファン回転数モードとCPU温度の関係を見ると、こちらでは、ファンなしでも筐体内の温度環境は問題がないように考えられる。FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3におけるシステムの消費電力が「高パフォーマンスと高速回転」「省電力と低速回転」とで5ワット強の差になることを考えると、バッテリー駆動時間を重視するユーザーは、電源プランとファン制御コントロールユーティリティの設定に十分注意して運用されたい。

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