2007年のCPUは「拙」

» 2007年12月28日 12時00分 公開
[長浜和也,ITmedia]

 といいながらも、「ただの“変わり目”に過ぎないでしょ」と、しばらく、1年を振り返る記事を掲載してこなかったPC USER(と、その前身のPC Update)であるが、こういう記事を書きたくなるほどに、2007年は動きの激しい1年だった。特に、最後の2カ月における「混乱」たるや、近年まれに見る状況だったのではないだろうか。

 そういう、激動の2007年を「イマドキのイタモノ」レビューで取り上げたCPUでまずはまとめてみたい。

追いすがるAMDは拙速で失速

65ナノプロセスの“Rev.G”Athlon 64 X2 5000+、CPUに刻印されている型名(発注型名、OPN Tray)末尾の「DD」がRev. G Athlon 64 X2の識別ポイントとなる

 2007年最初の“イマイタ”は「消費電力でCore2 Duoと渡り合えるか──“65ナノ”Athlon 64 X2を試す」のタイトルが示すように、インテルから1年遅れでようやく登場したAMDの65ナノメートルプロセスルールのAthlon 64 X2のレビューだった。この記事が示すように、2007年のCPUは、「AMD、苦闘奮戦ス」の印象が、ことのほか強かった。プロセスルールでインテルに追いついたAMDの次なる目標は、やはりインテルが“クアッドコア“Kentsfield”で幸せになるのは誰だ”で先行していた「4コア」CPUのリリースとなる。

 先行された焦りからか、2006年に「CPUを購入すればもう1つ入っています──Quad FXプラットフォームの実力は?」なる奇策を繰り出してきたが、ユーザーも、そして何よりAMD自身がアドバンテージとして訴求してきた「ネイティブ」なクアッドコアCPUの登場を待ち望んでいた。その、第一歩としてワークステーション向けに“Barcelona”Opteronを6月に行われたCOMPUTEX TAIPEI 2007に合わせてリリースし、コンシューマー向けのPhenomを“公約”どおりに2007年中に出荷した。

 ユーザー、AMDともども期待のネイティブクアッドコアであったが、そのパフォーマンスは「“ネイティブ”は“ネイティブ?”に勝るか──Phenom出荷直前レビュー」のように、なかなか厳しい状況にある。

評価用のAthlon 64 X2 5000+ BEで行ったオーバークロックの可否。横方向がFSB設定で縦方向に倍率を置いた。このときの検証では3.12GHz付近でコアクロックの限界が確認された

 AMDのCPUで注目された“伏兵”が「Black Edition」と呼ばれる一連のラインアップだ。特にクロック倍率を変更できるようにした「倍率変更がフリーになった“黒箱”で遊ぶ──Athlon 64 X2 5000+ Black Edition」は、ミドルレンジクラスのAthlon 64 X2と同じ価格帯ながら、オーバークロックによって、ハイエンドクラスのAthlon 64 X2 6000+相当の速さが実現するとあって、AM2マザーユーザーを大いに喜ばせた。

 また、早々と登場した「AMDからのクリスマスプレゼント──「Phenom 9600 Black Edition」で遊ぶ」も、B2ステップの問題を抱えながらも、2008年に登場予定のハイエンドラインアップ「悩めるへクター氏を救えるか?──「Phenom 9900」ベンチマークテストで2008年のAMDを占う」に匹敵する動作クロックが可能だ。ただ、ユーザーは大喜びとしても、既存のAthlon 64 X2、そしてこの年末年始とPhenomを販売しているPCパーツショップにしてみれば、Black Editionはどのように見えるだろうか。

順風なインテルも油断は大敵

Core 2 Extreme QX9770とIntel X48 Expressの組み合わせで測定したSYSmark2007 Preview:Ratingの結果。メモリはX.M.P.機能で1600MHzを実現している

 対するインテルの動きだが、2007年前半は「“Santa Rosa”の「Intel Turbo Memory」「Intel GMA X3100」を検証する」や「インテルの新チップセット搭載マザーボードレビュー──Intel P35編」「インテルの新チップセット搭載マザーボードレビュー──Intel G33編」とあるように、“プラットフォーム”のアップデートが中心であった。特に新しいメモリ規格として「Intel P35マザーでDDR3とDDR2の違いを知る──ASUS「P5K3 Deluxe」「P5K Deluxe」」も注目を集めたが、そのコストパフォーマンスに関する評価は、「X38とDDR3のタッグは最強か?──ASUS「P5E3 Deluxe」」のように、FSBやメモリクロックが向上するこれからにかかっている。そのFSBも、インテルは2007年に「FSB1333MHzで性能はどうなる?──「Core 2 Extreme QX6850」「Core 2 Duo E6750」を検証する」を実現させ、2008年には「「1600MHz」が見せる破格の性能──「Core 2 Extreme QX9770」「Intel X48 Express」フライングレビュー」まで達する予定だ。

45ナノプロセスルールを採用したクアッドコア「Penryn」のダイ画像

 インテルは45ナノプロセスルールを公約どおりに「新世代「45ナノ」CPUの実力を「SYSmark2007」で知る──Core 2 Extreme QX9650」を投入するなど、その強さはゆるぎないようにも見える。しかし、こちらも、2008年にかけて懸念が噂されていたりもする。

 Athlon 64 X2は、次世代製品の開発の遅れから長期にわたって主力として扱われ、そのために、65ナノプロセス、TDPの削減、そしてBlack Editionという改良を加えながら、インテルが繰り出す新製品と競合しなければならなかった。しかし、ようやく登場した新型のPhenomもなかなか性能が出せずに主戦力として育つには時間がかかりそうだ。

 なるほど、Ahtlon 64 X2って「零式艦上戦闘機」だったのね、というあまり一般的ではない感想で、ひとまず「2007年のPCパーツを振り返る−CPU編−」を締めくくりたい。ああ、そうすると、Phenomは「17試艦戦」ってことか。

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