2008年に入って2つの“薄型”ノートPCが脚光を浴びた。アップルの「MacBook Air」とレノボの「ThinkPad X300」――この2つは本当にすばらしい。その注目度に比例するように、賞賛だけでなく失望の声も聞こえてくるが、実機に触れたことがあるなら、それらを実際に持ち運んで使ってみたいと思った人は多いはずだ。例えどんなに否定的な意見の持ち主であっても、もしMacBook AirやThinkPad X300をプレゼントされたら、少なくとも3日間くらいは相手に感謝の念を捧げるに違いない。そう、誰かに買ってもらうのなら、この2つはおそろしく魅力的な製品である。
問題は価格だ。「38万8400円」や「36万5400円」という価格設定は、正直に言って、何かの冗談のように聞こえる。そんな記者にとって「MacBook AirとThinkPad X300、どっちがいい?」といった問いは、(仕事ではなく記者個人の物欲に照らし合わせると)妄想遊びの領域である。結局のところ、どうせ買えないのだ。
その点、2008年初頭から販売が始まった「Eee PC」は、いろいろな面で楽しませてくれる。自分が期待するモバイルPCの用途からどこまで“Eee PCの割り切り”を許容できるか、そしてもちろん価格面のメリットも大きい。買おうか買うまいか悩むことができるというのは、ただそれだけでも十分魅力的だ。
もっとも、拡張性のデメリットを“新しいライフスタイルの提案”という言葉にすり替えてしまいたくなるくらい美しいMacBook Airや、一番安いモデルでさえ30万円のラインを軽く踏み越えてしまったThinkPad X300と同じように、たった4Gバイトのストレージ領域しか持たないEee PCも、やはりユーザーを選ぶのだろう。
Webブラウズやメールチェックができて、ストレスなく原稿が書けるキーボードを搭載した、安いモバイルPCがどこかにないものか――そんなことを考えていたら、ちょうどGENOが中古のThinkPad X40を大量に放出するという情報を入手した。
価格が2万9999円。2万9999円? 何かの間違いかと思ってGENOの担当者に直接連絡してみたところ、どうやら本気でX40を3万円以下で販売するようだ。確かに、X40はプラットフォームで見れば数世代前のモデルだし、さらに中古PCというマイナス要素もある。それにしても、編集部ではまだ現役マシンとして使っている人もいるのに2万9999円ですか……Eee PCより2万円、工人舎の「SA5SX04A」より4万円も安いじゃないか。
ちなみに、今回販売されるThinkPad X40の主なスペックは、CPUが超低電圧版Pentium M 1.0GHz、メモリが768Mバイト(オンボード256Mバイト+512Mバイト)、HDD容量が20Gバイト。このほか、802.11a/g/b対応の無線LAN機能も搭載している。本体サイズは268(幅)×211(奥行き)×20.6〜26.9(高さ)ミリで、重量は1.24キロ。OSはWindows XP Home Editionだ。なお、バッテリー駆動時間は、14.4ボルト/1900mAhの標準バッテリーで約3.5時間(メーカー公称値)だが、これは中古品なので消耗していると思われる。

1024×768ドット表示に対応する12.1インチ液晶を搭載し、おなじみの7段配列のキーボード(キーピッチ18.5ミリ/キーストローク2.5ミリ)を備える。撮影用に“選別品”を貸してくれた可能性もあるが、ぱっと見た限りではキズや汚れもない良品。わずかにキートップのてかりが目に入るくらいださて、このX40のスペックで気になるのは、BaniasコアのPentium Mを搭載している点と、日立GST製の1.8インチHDDを採用している点、オンボードメモリが256Mバイトのために最大メモリ搭載容量が1280Mバイトになる点だ。
特にHDD容量が20Gバイトなので40/60Gバイトに換装したいところだが、現在では「Travelstar C4K60」の入手は難しい。20Gバイトでは足りないと感じる人はオークションやアキバのショップをこまめにチェックするほかない。もっとも、初期状態のCドライブの空き領域は13.4Gバイトとなっており、Eee PCに比べればだいぶましだろう。


2次キャッシュ容量が1MバイトのBaniasコアを採用している。ThinkPad X40の中でも初期のモデルだ(画面=左)。メモリスロットへのアクセスは、4本のネジで固定された底面のカバーを外すだけと簡単。標準搭載メモリは768Mバイト(オンボード256Mバイト+512MバイトのPC2700モジュール)なので、1Gバイトのモジュールに換装すれば1280Mバイトまで拡張できる(写真=中央)。HDDもネジ1本を外すだけで換装できるが、日立GST製の1.8インチドライブは大容量モデルの入手が困難だ(写真=右)それではパフォーマンスはどうだろうか。定番のベンチマークテストでチェックしてみた。2008年春の国産モバイルノートPCに比べると、超低電圧版のPentium M(Banias)とIntel 855GMEを組み合わせたX40は、さすがにPCMark05の各スコアで下回っている。ただし、Celeron M(600MHz駆動)を搭載するEee PCとの比較では、すべてのスコアで上回った。実際のアプリケーション操作もほとんどストレスはなく、アプリケーションを複数立ち上げるのでなければ、768Mバイトメモリの標準構成でも十分だろう。
記者は以前、GENOが開催した青空市でXtremeMacの「TANGO」を1500円で購入したことがあるが、今回も当然、即座に購入を決めた。十分現役で活躍するモバイルノートPCが、OS込みで2万9999円――GENOが特設ページで販売しているThinkPad X40は残り100台、早い者勝ちです(あ、99台か)。
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