ユーザーに我慢させないVAIO type Zの“プレミアム”な価値山田祥平の「こんなノートを使ってみたい」 (1/3 ページ)

» 2008年08月15日 11時00分 公開
[山田祥平,ITmedia]

 「携帯用の○○」と表現される、ある種のカテゴリに特化した製品は、さまざまな面で妥協を強いられる。その典型的な例が、携帯しやすいようにするための小型軽量化で、それが、ユーザーにいろいろな“我慢”を強いる。もちろん、モバイル利用を重視したノートPCも例外ではない。

 だが、その我慢を極限まで排除しようとしたのが、新たにVAIOシリーズに加わった「VAIO type Z」だ。今回は、その商品企画と開発に携わったVAIO事業本部 企画戦略部門企画部 プロダクトプロデューサーの大塚純氏と、同事業本部 Notebook PC事業部 統括課長の林薫氏に話を聞いてきた。

SZシリーズで分かったプレミアムに価値を見出すユーザーの存在

──まずは、VAIO type Zの製品企画が決まるまでの経緯を聞かせてください。

ソニー VAIO事業本部 企画戦略部門企画部 プロダクトプロデューサーの大塚純氏

大塚 (VAIO type Zの構想段階で考えていたのは)これまでのVAIOシリーズで実現してきたことをまとめていけばきっと成功する、という“予感”といったらいいでしょうか。以前、VAIO type Sのプレミアムモデルとして、「VAIO type S SZシリーズ」があったのはご存じでしょうか。今回のVAIO type Zはその流れをくむものです。

 SZシリーズのユーザーは、いわゆるビジネスパーソンで、標準的なPCよりもちょっとしたプレミアム感のある製品を求めていました。仕事でもプライベートでも使うようなイメージでしょうか。VAIO type Zは、そういうユーザーたちをさらに喜ばせたいという気持ちで開発しています。SZシリーズは、VAIOのノートPCラインアップでも高めの価格を設定していましたが、それでも、購入したいというユーザーが多かったのです。そのほとんどは、ベンチャー企業や中小企業のオーナーでしたね。

 製品を開発するときのポイントは「マス」をどう定義するかです。はっきりいって、(SZシリーズのような高額ノートPCの)ターゲットはニッチなマーケットです。マスを狙うなら、コストを下げてある程度のスペックダウンは仕方がないでしょう。でも、(ソニーとしては)“本物”を出したいという気持ちもあるし、“本物”を求めているユーザーも必ずいるはずなんです。今回は、そこに照準を合わせました。

 日本の市場だけを見たときにはニッチでも、ワールドワイドでみれば、VAIOのラインアップとして成立する規模の市場がある場合も考えられますね。正直なところ、SZシリーズは“挑戦的”な製品でしたから、開発側も「絶対にいける」という確固たる自信はありませんでした。(SZシリーズのラインアップとして、)プレミアムバージョンとノーマルバージョンを用意したのはそのためです。プレミアムな製品だけでビジネスを進めてしまうほどの勇気がなかったわけですね。でも、SZシリーズはいい意味で予想が外れ、VAIOオーナーメードモデルのプレミアムバージョンが相当数売れてくれました。それで「プレミアムであること」のためにお金を払うユーザーがいることを知ったのです。

2006年1月に発表された「VAIO type S SZシリーズ」は、VAIOオーナーメードモデルでノーマルタイプとボディにハイエンド素材を採用した「プレミアムバージョン」が用意された
VAIO type S SZシリーズで導入された「STAMINA」「SPEED」スイッチは、消費電力が低い内蔵グラフィックスコアと性能が高い外付けGPUを切り替えて使う機能で、バッテリー駆動時間と3D性能の両立を実現するものとして注目を集めた

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