東芝とリードテックがSDKでユーザー個人に開発環境の提供を進めるかたわら、ソフトウェアメーカーもSpursEngineを生かせるソフトの開発を進めている。今回のイベントでは、主要メーカーが進捗状況を報告しており、一通りの状況が把握できた。
トムソン・カノープスは、MPEG-4/H.264を独自コーデックに変換するフリーソフト「AVCHDコンバーター」の新バージョンを近日公開し、SpursEngineに対応させると明言。AVCHDコンバーターは、FIRECODER Bluを最大4枚まで認識して利用できる仕様のため、複数枚利用により、さらに高速な処理を実現できるという。また、動画編集ソフト「EDIUS Pro 5」も、春ごろをめどにSpursEngineに対応する予定だ。
GPGPU対応の動画ソフト「LoiloScope」で知られるロイロも、2009年の春から夏のあいだにLoiloScopeのエンコード処理にSpursEngineが利用できるように開発中とのこと。
「TMPGEnc」シリーズで知られるペガシスは、2009年第1四半期中にSpursEngineをエンコードに利用できる「TMPGEnc 4.0 Xpress」を発売すると説明。同シリーズは、すでにNVIDIAのGPGPU「CUDA」に対応しており、フィルタリングをGPUで処理できるようになっている。新バージョンでは、CPUとCUDA、SpursEngineを併用して、より快適な処理が可能になるという。
そのほか、動画のアップスケーリング技術を携帯電話用コンテンツなどに提供しているモルフォが、SpursEngineと同社技術を組み合わせた環境をPCやゲーム機などへ組み込む計画があることを明かした。同社は「いつの間にYouTubeってきれいになったの!? と感動してもらいたいです」と目標を語る。


ペガシスによる「TMPGEnc 4.0 Xpress」のデモ。SpursEngineを活用した右側は、CPUのみで処理する左側に比べて、断然早く処理を終えた(写真=左)。会場にはQosmioを使ったTMPGEnc 4.0 Xpressのデモ機も用意されていた(写真=中央)。モルフォの技術をアピールするデモ。アップスケーリング技術により、ブロックノイズやモスキートノイズが大幅に軽減されているのが分かる(写真=右)すでにSpursEngine対応環境を整えたソフトも多い。
サイバーリンクは、エンコードにSpursEngineが使える動画編集ソフト「Power Director 7」を販売しており、SpursEngineの効果をセッションでアピール。さらに将来は、番組のハイライトシーンを抽出する「SportsMagic」機能をSpursEngineに対応させることで、録画と同時に相撲の取り組みだけを抽出するといった便利な使い方ができるようになると展望を語った。


CPUのみで処理を行っているPower Director 7の画面。1分の動画をMPEG-2からMPEG-4/H.264へ変換するのに4分近くかかったという。CPU使用率は100%に近い(写真=左)。こちらはSpursEngine搭載機によるPower Director 7処理。CPU使用率は57%に抑えられ、処理も1分程度で終了したという(写真=中央)。SportsMagic機能によって、ハイライト抽出も快適にこなせるようになるという(写真=右)CRI・ミドルウェアは、コマンドラインからMPEG-4/H.264のエンコードが行えるフリーソフト「CRI SpursCoder」を提供中。映像のみのエンコードで、SpursEngineが活用できるという。さらに音声の変換にも対応する有料版「CRI SpursCoder高機能版」を1月末に発売する予定とのこと。


CRI・ミドルウェアが提供する「CRI SpursCoder Ver.1.00」を紹介(写真=左)。有償版を含めた今後のロードマップ。2009年2月以降には、詳細不明の新ソフトが投入される予定という(写真=中央)。そのほか、テクノアソシエーツはフルHDコンテンツの世界的普及を予測。そのうえでSpursEngineの利点を、処理性能や低い消費電力などにからめて解説していた(写真=右)
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