イベント中、最も多くのユーザーを集めたのが、「兄貴」こと日本AMDの土居憲太郎氏と森本氏、司会の佐藤氏が登壇する最後のセッションだった。土居氏は開口一番「昨年はウチのCPUが目立つことが割と少なかったですが、今年からは挽回していきたいと思っています」と決意と自信を覗かせてPhenom IIの特徴を解説していく。動作クロックやL3キャッシュの増量など、各改良点を説明し「Phenom X4 9950とPhenom II X4 940を比べると、平均的に20%前後の性能アップが見込めます」と結論づけた。
なお、TDPは従来のPhenom X4上位モデルと同じ125ワットだが、「アイドル時のCPU消費電力は、Phenom X4 9950の69ワットから49ワットと大幅に下がっています。実際にデモ機をご確認ください」と紹介。しかし、何かトラブルが起きたのか、デモ機はPhenom IIマシンのほうが高い電力値を示しており、「今のはなかったことにしてください。……おはようございます! これからセッションを始めたいと思います」と苦肉の仕切り直しをしていた。
そのほか、AMDイベントとして久しぶりにインテル製CPUとの比較も行っていたのが興味深い。パフォーマンス比較については、Core 2 Quad Q9550を例に出し、ゲーム時やマルチメディア時の性能で勝っていることをアピールした。また、マシン全体の消費電力ではCore i7 920のアイドル時178ワット/高負荷時322ワットに対し、Phenom II X4 940 Black Editionマシンのアイドル時145ワット/高負荷時246ワットと低い結果を強調していた。ただし、Core i7マシンとの性能比較については最後まで言及されなかった。
なお、Phenom IIは1月10日にX4 940 Black Editionが登場し、まもなく下位モデルの920も出回ると予想されている。これまでのAMD製CPUと比べて、順調すぎるほど順調にリリースされている印象だ。これについては「実は昨年のうちに準備をすべて完了していました。十分な量を初回から供給できると思っていましたが、予想以上の反響をいただいて、初回分の940 Black Editionは品薄な状況になってしまいました。本当にありがたいですね」(土居氏)と語った。
また、Phenom IIの特徴として、保証外ながら、オーバークロック耐性の高さが大々的にアピールされたことも特筆すべき点だ。土居氏は「Phenom X4 9950では空冷で3.2〜3GHz程度が限界でしたが、Phenom IIは空冷で4.0GHz、ガス冷で6GHzも目指せる能力を秘めています」と明言。OVERCLOCK WORKSの渡辺氏をステージに招き、液体窒素を使ったガス冷のデモを披露した。ちなみに、同店は翌日にガス冷によるPhenom IIオーバークロックイベントを実施しており、一時的に6GHzを超える数値が計測された。
最後のプレゼンは恒例のCPUロードマップだ。現在出回っているPhenom IIはDDR2メモリコントローラのみを搭載したSocket AM2+版だが、今後はDDR2/DDR3メモリに対応するSocket AM3版が登場するという。さらに、デスクトップ用の45ナノメートルプロセスCPUは、クアッドコアL3有り/無し、デュアルコアの3種類を予定していると説明。4コアタイプには、それぞれトリプルコアのX3が追加される。土居氏は「今年中にもAMD製CPUはラインアップを大幅に増やしていきます。よろしくお願いします!」と締め、最後のじゃんけん大会に移った。
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